103歳個展に初挑戦 元福島県立高校長保志和吉さん 98歳から絵手紙独学 やる気になれば何でもできる

2025/09/25 11:29

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初の個展を控える保志さん。「素人でも、何歳からでもやる気があれば楽しめる」と胸を高鳴らせている
初の個展を控える保志さん。「素人でも、何歳からでもやる気があれば楽しめる」と胸を高鳴らせている

 98歳で魅せられた趣味が今では「生きる楽しみ」となった。福島県会津若松市の元県立高校長保志和[わ]吉[きち]さん(103)は、独学でたしなんできた絵手紙の個展を25日から市内中町のギャラリーアブドゥで開く。贈り先からの反応を力に、筆を走らせてきた。「素人でも、何歳からでもやる気になれば何でもできる。多くの人に見てもらえたらうれしい」と胸を高鳴らせている。


 身近な風景をスケッチするなど、幼い頃から絵を描くのが好きだった。大人になってからは技術系の教員の道に進み、約30年間勤め上げた。会津工高電気科で長く教べんを執り、小高工高(現小高産業技術高)、勿来工高の校長を務めた。

 定年退職後は会津白虎剣士会で小中学生に剣道を指導。区長会長を務めるなど地域貢献に励んだ。充実した第二の人生でも、旅先で心が動かされた風景などをスケッチブックにしたためてきた。

 絵手紙に熱中し始めたのは5年ほど前。加齢による足の衰えや、コロナ禍で外に出る機会が減ったことがきっかけだった。出かけずとも机の上で励める手軽さに魅力を感じ、のめり込んだ。

 ボールペンや水彩絵の具などを使い分け、頭に思い浮かんだ題材を1、2時間かけて仕上げる。ツバキやシャガなど四季折々の花々から季節の行事、仏画まで扱うテーマは幅広い。多い日には3枚を一度に仕上げ、熱中して夜まで描き続けることもある。

 「自信作」を孫や友人にプレゼントし、喜んでもらえるのが何よりの励みだ。本紙の投稿欄「みんなのひろば」への投稿、掲載も筆を握り続ける動機の一つとなっている。

 現在は家族5人で暮らしている。長女遠藤茂子さん(74)らの勧めに背中を押され、これまで手がけた作品を広く見てもらおうと個展を企画した。「素人だからこそ、怖いものはない。ワクワクしている」。長い人生でも初の挑戦に、心を躍らせている。


■25日から68点展示

 保志さんの個展は25日から28日まで。これまで制作した絵手紙に色紙サイズの作品を加えた68点を展示する。時間は午前10時(25日は正午)から午後5時まで。入場無料。25、28日正午~午後4時、27日午前10時~正午、午後3時~午後5時は本人が在廊する。問い合わせはギャラリーアブドゥへ。