愛する伊南から夢舞台 アマゴルファー福島県南会津町在住 佐野夏奈選手20 日本女子OP本選初出場 2日に開幕

2025/09/27 11:02

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郷土愛を胸に活躍すると意気込む佐野選手
郷土愛を胸に活躍すると意気込む佐野選手

 豪雪地帯である福島県南会津町伊南地域在住のアマチュアゴルファー・佐野夏奈選手(20)は、日本女子オープン選手権の予選を突破し、10月2日に開幕する本選に初出場する。雪国の厳しい練習環境や交通状況の中で鍛錬を重ねて着実に力を付け、悲願だった国内最高峰の大会への切符を勝ち取った。強い郷土愛から古里を離れずに競技を続け、プロ入りの夢を描く。女子日本一を決める大舞台での好成績が目標で、「プロへの足がかりにしたい。育ててくれた地元に恩返しする」と意気込む。


 日本女子オープンは国内トップの選手がプロ、アマチュアの垣根を越えて競い合う。佐野選手は東日大昌平高の1年時から本選でのプレーを目指して挑んできたが、いずれも予選で涙をのんできた。

 5回目の挑戦となる今年の大会では、予選から約740人が参加する激戦となる中、自信があったパターとアプローチに磨きをかけ、安定したショットを武器に地区予選を10位で通過して最終予選出場の約220人に残った。約50人のみが本選への出場権を勝ち取れる狭き門だったが、実力を発揮して25位に入り、10月2日から4日間、兵庫県で開かれる本選への参加を勝ち取った。

 夢舞台への道は平たんではなかった。冬は多い場所で2メートル以上の積雪がある南会津町。練習場所としている地元の会津高原たかつえカントリークラブが開いているのは春から雪が降る時期まで。自宅から最寄りの高速道路のインターチェンジまで1時間以上かかり、1年間に約100泊しながら各地の大会を転戦する。

 それでも古里で努力を続けるのは地元を愛しているからだ。伊南小4年の時にゴルフを始めてから、高校も通信制を選び、一貫して地元にこだわった。豊かな自然に愛着があるだけでなく、練習していると声をかけてくれる住民の温かさも支えになっている。

 とりわけ、一緒に暮らす祖父母、両親、きょうだいの家族6人の存在がゴルフ人生の支柱だ。父和弘さん(52)は会場までの運転やキャディーを務め、母真奈美さん(52)は食事で体調管理に気を配る。冬季でも練習を可能にしているのが自宅車庫の2階を改装した室内練習場で、和弘さんが指導に当たる。1年を通してクラブを振り、ゴルフと向き合い続けた日々が下地となり、この秋、アマチュアトップクラスの選手への仲間入りを果たした。

 各種シードなどの選手らも含めて約120人が日本の頂点を目指す戦いで力を出し切る覚悟だが、さらなる目標はその先にある。合格率3%程度とされるプロテストでは昨年2次予選まで進んだが、まだ突破できておらず、日本女子オープンをさらなる成長のきっかけにしたい考えだ。「上位60人の決勝に残るのが目標で、古里の人たちに活躍を見せたい。プロテストに合格して支援に報いたい」。雪国育ちの20歳のアスリートは夢舞台への決意とあふれる郷土愛を語った。