
福島県平田村と日大工学部(郡山市)が協力して進めてきた、橋の簡単な点検や維持管理を住民自身で行う「平田村モデル」を生かした取り組みがフィリピンでも始まった。同大大学院工学研究科に留学中のヤンディ・ガマヨさんが母国の国道橋の点検で試験的に導入している。
ヤンディさんは日本の国土交通省に当たる「公共事業道路省(DPWH)」に勤務。元々は道路の災害対策を学びに来日したが、留学先の同大で村の住民が簡単なチェックシートやアプリを使って橋を点検しているのを知り、「母国でも生かせないか」と思った。
ヤンディさんによると、フィリピンの国道橋の点検は専門の保守技術者が担う。点検に伴う書類作成には専門知識が必要で、責任や負担も大きい。一方、平田村モデルで使うチェックシートがあれば、知識や経験の少ない現場作業員でも橋の簡単な点検を行えると考えた。昨年から今年にかけて何度か母国に戻り、自身が管轄する東北エリアの現場で実際に使用。今は現地の法令にのっとった項目を追加するなどシートの改良に当たっている。
ヤンディさんは26日、平田村役場で報告会を開き、母国での取り組みを説明した。「来年3月に卒業するので、母国に戻ったら本格的に運用していきたい」と話した。