



峠の森自然公園は花塚山の中腹にある森林総合施設だ。キャンプ場からは安達太良山や吾妻連峰、川俣町内の眺望を楽しみ、ゆったりとした静かな時間を過ごすことができる。
■竹とんぼ作りに挑戦
公園には林間歩道が整備されており、花塚山登山口の一つともなっている。公園を起点に花塚山を散策するなど自然を満喫できる。山頂付近の木々は少しずつ色づき始めており、紅葉シーズンが近づいている。
キャンプ場の使用は無料。水道とトイレがあり、自由に使うことができる。
今回は秋晴れの下、国際竹とんぼ協会会長の高橋達郎さん(65)=川俣町在住=を招いた竹とんぼ作り体験を実施した。町産業課商工交流係の神尾元城さん(30)、沢口篤さん(21)が挑戦した。
キャリア50年を超す高橋さんの指導で、2人は長方形に切り出した真竹の四隅をクラフトナイフで丁寧に削り取っていった。浮力を高め、滞空時間を延ばす工夫を随所に取り入れながら1時間ほどで、世界に一つだけの竹とんぼが完成。「せーの」の掛け声で、両手に挟み込んだ“愛機”が大空へと飛び立った。
竹とんぼ作りに初めて臨んだ神尾さんと沢口さんは「奥深さに引き込まれた。とても楽しい時間でした」と笑顔を見せた。
■峠の森自然公園キャンプ場
▽開園期間=4月~11月
▽開園時間=24時間
▽利用料=無料
▽住所・アクセス=川俣町飯坂字上切伏地内。東北自動車道福島西インターチェンジ(IC)から車で約50分、二本松ICから車で約50分
▽問い合わせ=川俣町産業課へ。
■特産川俣シャモ調理 長期育成でうま味備わる
花塚山登山に同行してくれた川俣町教委学校教育課学校教育係の斎藤みらいさん(23)と町町民税務課税務係の菅野昂哉さん(19)は峠の森自然公園のキャンプ場で「キャンプめし」を作った。
今回の食材は川俣町特産の川俣シャモだ。販売や新商品開発を手掛ける川俣町農業振興公社社長の渡辺良一さん(53)が食材を提供し、斎藤さんと菅野さんと一緒に料理した。
川俣シャモが生まれたのは歴史的な背景がある。川俣町は江戸時代から全国屈指の絹織物の産地として栄えた。町には娯楽として闘鶏があった。地域にとって身近だったシャモに着目し、1983(昭和58)年に町の特産化に向けた取り組みが始まった。1987年に川俣シャモとして販売を開始した。その後も試行錯誤を続け、ブランド化させた。
渡辺さんによると、通常の鶏肉の育成期間は二カ月ほど。川俣シャモは二倍の四カ月ほど育成させる。このためじっくりとうま味が備わる。煮崩れしないようになり、丸焼きをはじめさまざまな料理に使うことができる。
生産数は年間で6万から6万5千羽だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で飲食店での提供数が減り、一時は3万5千羽ほどとなった。今年は5万羽程度まで回復しているという。
この日作ったキャンプめしは「川俣シャモスモークとジャガイモのホイル焼き」「川俣シャモ参鶏湯(さむげたん)風」の2品。さらに川俣シャモの丸焼きを振る舞ってくれた。
■伝統の手織り体験 からりこ館など織物の歴史紹介
川俣町は古来から絹の里として栄えてきた。千数百年前に小手姫が養蚕や糸つむぎ、機織りの技術を川俣の人々に伝えたのが始まりとされている。
町内には織物の歴史や伝統技術、生活文化を紹介する「おりもの展示館」、機織りや染色に関する研修、体験学習ができる「からりこ館」、絹製品や川俣シャモなどの町特産品を販売する「かわまた銘品館シルクピア」がある。
川俣町教委学校教育課学校教育係の斎藤みらいさん(23)と町町民税務課税務係の菅野昂哉さん(19)らがからりこ館で手織り体験に挑戦した。
手織り機で木綿のコースターを作った。体験できるのは午前9時から午後4時まで。所要時間は30分程度。体験料は500円。高校生以下は300円。
休館日は月曜(祝祭日の場合は翌日)、年末年始。