
新型コロナウイルス感染拡大の第6波に備え、福島県は入院治療が必要な感染者を受け入れる県内の確保病床を現在より162床増やし、799床とした。内堀雅雄知事が10日の県新型コロナ本部員会議で示した。強い感染力が疑われる新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大など最悪の事態を想定した医療提供体制を整えるため、当初計画した750床よりも積み増した。実際に運用する病床数は感染状況に応じて増減させる。ホテルなどの宿泊療養施設は100室増の603室に拡充した。
県は11月下旬に公表した計画で、入院病床を750床まで増やすとしていた。ただ、各医療機関が今夏にいわき市で発生したような爆発的な感染拡大の再来などの危機意識を共有し、可能な限りの病床確保に努めたため計画数を上回る体制を構築できた。これまで新型コロナの病床を設けていなかった医療機関も協力した。
県が確保した799床を人口10万人当たりの病床数に換算すると43・6床となる。北海道、東北、関東、新潟の15都道県で比較すると、東京都の49・1床に次いで2番目に多い。宿泊療養施設の100室は新たな1施設で確保した。県は「地元と調整中」として、所在市町村を明らかにしていない。
感染状況に応じた病床、宿泊療養施設の運用方法を巡っては緊急時を含め、4段階のフェーズを設定した。1週間の人口10万人当たりの新規感染者数に応じて切り替える。
直近1週間(2~9日)の人口10万人当たりの新規感染者数は0・33人で、県内の現状は「フェーズ1」に相当するが、県は隣県の感染状況、オミクロン株の感染拡大の可能性を考慮し、現行の637床と同水準の「フェーズ2」で運用する。
ただ、新型コロナの入院病床は一般病床を転用して確保している。799床まで運用するには一般患者の転院などが必要となる可能性がある。内堀知事は新型コロナ本部員会議で、「感染状況が落ち着いていても油断せず、感染の再拡大をさせないとの強い思いを共有してほしい」と対策の徹底を改めて呼び掛けた。