3.16福島県沖地震

【令和4年 福島県沖地震 烈震1カ月】住宅復旧手回らず 県内 依頼殺到、業者悲鳴 「梅雨前に間に合うか」

2022/04/17 11:24

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蔵の壁にペンキを塗る社員を見守る小谷津さん(左)。建物には亀裂が入ったままだ=16日午前11時ごろ、南相馬市原町区
蔵の壁にペンキを塗る社員を見守る小谷津さん(左)。建物には亀裂が入ったままだ=16日午前11時ごろ、南相馬市原町区

 三月の本県沖を震源とする最大震度6強の地震から一カ月となった十六日、被災地では建設業者や設備業者らが休日返上で住宅などの復旧作業に当たった。昨年二月の地震を大幅に上回る住家被害が発生し、復旧作業は多忙を極めている。平時の十倍を超える修繕依頼を受けている業者もあり、「被災して困っている人のために一刻も早く着手したいが、人員的にも限界がある」と窮状を訴える。


 南相馬市原町区東町にある民家の蔵で十六日、同市原町区の小谷津工務店の社員二人が板壁にペンキを塗る作業に当たった。土壁が地震の影響で崩れたため、木の板に張り替えた。社長の小谷津和矢さん(65)は手慣れた様子で塗装する社員を見守っていた。

 同社には地震後、二百五十件近い修繕工事の依頼が入っている。平時の十倍を超える数だ。崩れ落ちた瓦屋根や外壁の修繕、サッシの入れ替え、漏水対策など、どれも急を要する工事ばかり。

 職人十二人と事務職六人が働いている。仕事が急増したからといって、人手をすぐに増強するのは難しい。限られた社員で作業に当たらざるを得ないため、工事着手まで半年近くを要するケースもあるという。

 梅雨入りする前に、屋根が雨漏りしている家の修理を何とか終わらせたいと考えているが、数が多すぎる。小谷津さんは「間に合うかどうか分からない」と表情を曇らせた。「協力会社とも一丸となり、一日も早く復旧させたい」と前を向いた。

 福島市の屋根工事業「屋根のいがらし」は県北地方を中心に、百件ほどの修繕依頼を受けている。現在、現地調査や見積もりを実施しており、これから修理が本格化する。ただ、昨年二月の本県沖地震の修理も約四十件残っており、依頼を受ける際には相手に時間がかかると伝えている。

 年内に全て完了させたいが、人手は限られている上、屋根の修繕は天気に左右されるため、スケジュール通りに進むとは限らない。代表の五十嵐正和さん(45)は「一つ一つ着実に、なるべく早く対応できるようにしたい」と話した。

 自宅が被災した住民も一刻も早い修繕を願う。桑折町伊達崎の後藤アイさん(76)は夫と二人暮らしの自宅が半壊となり、被害があった屋根や壁をブルーシートやベニヤ板でふさいだ状態のままだ。地震から一カ月がたち、ゆがんだ戸の開閉がしにくくなったり、内壁がさらに崩れたりするなど損傷が広がっている。

 五月の大型連休明けに福島市の業者と修理の相談をする予定だ。どの業者も多忙で、すぐに工事に着手してもらえそうにないことは理解している。「ある程度時間がかかってもしっかり直してもらい、地震に強い家にしてほしい」と切実な思いを口にした。


■一部損壊1万512棟 県内

 県によると十五日午前十一時現在、住宅被害は一部損壊が一万五百十二棟に上る。市町村別では、福島市で千七百五十棟、南相馬市で千五百九十一棟、相馬市で千四百十二棟、伊達市で八百九十五棟などとなっている。全壊は七十三棟、半壊は九百九十九棟。

 被害の規模は昨年二月の地震を大幅に上回っている。建物の被害調査は継続するため、今後さらに増える見通し。