〈８時だよ！！ 昔は集合 今閉店〉。第一生命保険が募った「サラリーマン川柳コンクール」の今回の一位と知って、往時の人気お笑い番組を思い出した人もおられよう▼番組名と同じく毎週土曜日の午後八時、家族全員が茶の間に集合する。ドリフターズが生で演じる滑稽なドタバタ劇に腹を抱えて、みんなで笑う。時に、加藤茶さんが「ちょっとだけよ」と妖艶な衣装をまくし上げたり、今は亡き志村けんさんが妙な白鳥姿で歌ったり、昭和のテレビ全盛期に何かと話題をさらった。そんな世代にとっても、今は昔の感がある▼もっとも、川柳はそこを詠んだわけではないだろう。新型コロナの影響で営業時間を制限され、苦境に立たされたあまたの飲食店、仕事の憂さを晴らせぬままに切り上げ、足早に帰途に就くサラリーマン。どちらにしても、我慢が日常だった。屈託なく、笑えた当時を懐かしんでばかりはいられまい▼元の暮らしに続く出口を、社会は探り始めている。かの番組は、早寝、歯磨きなど、画面越しに加藤さんが子どもに呼びかける言葉で締めくくられる。今なら、世の大人たちには「開店したら みんなで応援してよ」となるだろうか。
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