3.16福島県沖地震

赤湯温泉「好山荘」再建、1年半ぶり営業再開へ 2021年2月の福島県沖地震で倒壊

2022/06/22 09:42

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房雄さんが手作りした露天風呂を眺めながら、人々に愛される旅館にすると誓う今泉さん
房雄さんが手作りした露天風呂を眺めながら、人々に愛される旅館にすると誓う今泉さん

 福島市の土湯峠温泉郷で7月1日、温泉宿「赤湯温泉 好山荘」が約1年半ぶりに営業を始める。2021(令和3)年2月に本県沖を震源とする最大震度6強の地震で建物が倒壊。継続を諦めかけたが、常連客からの後押しで再開を決意した。おかみの今泉ヒロ子さん(78)は「恩返しの思いで、訪れる人をもてなしたい」と前を向く。

 好山荘は吾妻山の中腹である標高約1200メートルの場所で1947(昭和22)年ごろに創業した。「秘湯の湯」とも呼ばれる赤湯の温泉、硫黄の温泉を備えている。赤湯温泉にある唯一の宿で、地元住民や県外からの観光客を数多く迎えてきた。

 例年、12月から3月ごろまでは冬季休業としている。2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、6月まで休館を延期していた。自粛が明け、営業が本格化した6月20日の朝、長年二人三脚で宿を運営してきた夫房雄さん=享年(77)=を亡くした。常に明るく周囲を楽しませることが好きな人だった。

 「好山荘を待っている人がいる。夫の分も頑張らなければ」。今泉さんは前を見続けた。しかし、2021年2月に発生した地震で旅館が全壊。当時は何度か営業を諦めようと思った。そんな時、常連客らから「思い出の詰まった宿がなくなってほしくない」と応援の声が届いた。

 昨年7月ごろから再建の準備を始め、現在、改修工事が続いている。木材を多く使い、段差を少なくしたり、スロープをつくったりして高齢者にも利用しやすいように工夫した。客室は18部屋。豊かな自然を存分に楽しんでもらえるよう部屋ごとに大きな窓も設けた。

 大工だった房雄さんが手作りし、満天の星空を眺められる自慢の露天風呂はそのまま残した。宿泊客に提供する料理は地元の野菜や山菜などをふんだんに使う。

 建て替えには国の補助金などを活用する予定。布団や家具などの備品の購入費を確保するため、クラウドファンディングにも取り組んでいる。7月から、長女高橋久子さん(52)らと宿を切り盛りする予定で、すでに5~6組の予約が入っている。今泉さんは「多くの人に愛される場所にしたい」と力を込めた。