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小児医療の現場逼迫、適正受診呼びかけ 福島県内 新型コロナ「第7波」感染者急増で

2022/08/09 09:09

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小児科で診察する酒井副院長。7月中旬から感染者数は高止まりしている=郡山市・じんキッズクリニック
小児科で診察する酒井副院長。7月中旬から感染者数は高止まりしている=郡山市・じんキッズクリニック

 新型コロナウイルス感染「第7波」で福島県内の感染者急増に歯止めがかからない。なかでも10歳未満の子どもの感染が顕著で小児医療の現場には、発熱などの症状を訴える患者が殺到し、医療従事者の負担が増している。お盆期間を直前に控え、関係者は医療が逼迫(ひっぱく)した状況が続けば対応が困難になると危機感を持つ。自宅での検査キット活用や症状に応じた適正受診を呼びかけている。

 県内各市を中心に連日、100人超の新規感染者が発表されている。10歳未満の感染者数をみると、福島市は6月の84人に対し、7月は582人と約7倍に増えた。いわき市は7月1カ月間で505人だったが、8月の最初の1週間で498人となった。10歳未満は全体の約2割を占めた。郡山市は7月25日から同31日までが318人、翌週の1日から7日までは347人と増加した。

 郡山市のじんキッズクリニックの駐車場は診察が始まる平日の午前9時には患者を乗せた車で埋まる。院内では受診相談の電話が鳴りやまない。

 夏休みに入り、放課後児童クラブでの感染が目立つ。小児科の診療を担う酒井信子副院長(47)は「学年間の交流が増えて感染範囲が広がっている」と分析する。

 かかりつけの患者に新規の患者も加わり、業務が増えているのが現状だ。症状の経過の聞き取りや問診票の記入にも時間がかかる。診察の合間や休憩時間を削り、市保健所に提出する感染者の発生届を記入している。

 酒井副院長は「子どもの感染者数は第7波が一番多い。コロナ対応以外にも予防接種や健診があり、診療時間に余裕はない」と窮状を説明する。

 子どもの場合、新型コロナの症状か判別する難しさがある。夏は風邪や感染症が増えやすく、同クリニックによると手足口病に流行の兆しがあるという。発疹が出れば専用の部屋で診察するが、発熱が先に出る子どももいる。症状をうまく言い表せない子も少なくない。

 酒井副院長は重症化の例として(1)ぐったりする(2)呼吸が荒い(3)尿が出ない-などを挙げ「軽症の人は抗原検査キットを活用するなど適正な受診をお願いしたい」と訴える。

 子どもをはじめ感染者の急増を受け、郡山市は郡山医師会などと連携し、休日当番医について7月末から通常の3カ所に加えて発熱患者限定の1カ所を設置した。市休日・夜間急病センターの利用者は7月17日、コロナ禍が始まって以来最多の122人に上った。日祝日は昼の部で診察を終えられなかった人に夜の部の受診をお願いするケースも出ている。

 市休日・夜間急病センターや休日当番医の受診者が集中している状況を踏まえ、市保健所は8日、軽いせきや喉の違和感など軽症の人は平日の日中に医療機関を受診するよう、市民に周知した。