新型コロナウイルスの影響で今年も敬老会の中止が相次いでいる。時節柄、仕方ないとはいえ、感染が拡大するたび、真っ先に外出自粛を呼びかけられる。お年寄りはさぞ窮屈では、というのは思い過ごしだったか▼いわき市好間町の高齢女性でつくる「北二区ババの会」はコロナ下、いきいきと活動している。地域を明るくしようと、魔よけや子宝を願う「さるぼぼ」と呼ばれる人形を作り、飲食店などで販売する。小が100円、大が1000円で、6月からの3カ月間で60個も売れた▼71歳から94歳までの会員24人が月1回、集会所に集まり、縫製や綿入れなどの作業を分担する。自宅に眠る着物や布団の綿を再利用する。交通安全のお守り、誕生祝いの贈り物、携帯電話のストラップ…。一つ一つの丁寧な手仕事に、長年の裁縫の技が物をいう▼売り上げは会の自立の助けにする。会員の一人はSNSに商品の写真を載せ「いいね」をもらったと自慢する。手に取った人の喜ぶ顔が張り合いになるという。買う側も、おばあちゃんたちの笑顔から元気をもらう。お年寄りの満面の笑みが広がる郷土を思い描くと、明るく温かい。きょう19日は「敬老の日」。