
9日に福島県郡山市のあさか開成高で開かれた討論イベント「ふくしまの私たちから世界を変える、はじめかた。」では、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けた活動に取り組む生徒らが、古里や世界の未来について思いを伝えた。
国際科学科の15人が授業や課外活動での経験や成果を語った。国際交流委員長の箭内佑都さん(3年)は授業で食品ロスに興味を持ち、フードバンクの団体を見学。身近に貧困の問題があると知り、生徒から不要な文房具を集めて子ども支援団体に寄付する「もったいないイベント」を企画した。
地域の文房具店に協力を求めると、3店が賛同してくれた。「小さな気づきでも、行動を起こせば活動の輪が広がると実感した」と成果を述べた。
東日本大震災や東京電力福島第1原発事故の教訓を後世に伝える語り部活動に励む生徒もいる。増子音々さん(2年)は5歳で震災を経験した。2歳年下の妹は当時のことを覚えておらず、自分より下の世代に震災を語り継ぎたいと活動を始めた。「自分にできる形で復興を手伝いたい」と先を見据えた。
佐藤亮太さん(1年)は語り部の活動がSDGsの「住み続けられるまちづくりを」「気候変動に具体的な対策を」につながると指摘。「全国や世界の人たちに防災意識を持ってもらうため、災害対策の重要性を広めたい」と力を込めた。
生徒は今後の目標や大人に伝えたいことも発表した。グラフィックデザイナーを目指す藤田瑞樹さん(3年)は「福島の自然を次世代に残すことの大切さを伝える雑誌やポスターをつくりたい」と目を輝かせた。
増子輝良さん(2年)は水環境保全活動を通して地域の過疎化や高齢化などの問題に気付いたという。「活動を続けるには世代交代が必要。少しでも現状を変えたいと思った人は、周りを巻き込んで活動してみてほしい」と訴えた。
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討論イベントは講談社の女性誌「FRaU(フラウ)SDGs」と福島民報社が企画した。福島民報社ホームページの「みんなの動画ギャラリー」でイベントの様子を視聴できる。
動画のURLは、https://www.youtube.com/watch?v=xPU78451sCI