【名君の大名文化】名君の大名文化展若松で開幕

2022/10/08 13:28

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浦上玉堂の水墨画に見入る来場者
浦上玉堂の水墨画に見入る来場者

会津と岡山固い絆 〝伝家の宝刀〟輝く

 西国を代表する大名家・岡山藩主池田家伝来の品を集める企画展「名君の大名文化ー岡山池田家と会津 武、その華と志ー」は7日、会津若松市の県立博物館で開幕した。「短刀 無銘 伝正宗(名物九鬼正宗)」など国宝3点をはじめ重要文化財の能装束や太刀などを展示し、大名文化の粋を伝えている。遠く離れた会津と岡山の“縁”にもスポットを当てており、関係者や来場者は両地の絆を再認識するとともに、深化を期待した。

 会津と岡山には、あまり知られていない縁がある。会津松平藩祖・保科正之と岡山藩祖・池田光政は同時代を生きてそれぞれ藩の礎を築き、“水戸黄門”徳川光圀とともに江戸初期の三名君に名を連ねている。さらに、正之の異母姉・千姫(天樹院)の長女勝子は光政に嫁いでおり、縁戚関係にあった。

 江戸後期には、岡山藩の支藩である鴨方藩士から文士に転じた浦上玉堂が会津藩に招かれ、保科正之を祭る土津神社(猪苗代町)の神楽を再興した。その子・秋琴は会津藩士となり、戊辰戦争で会津藩が敗れた最晩年の80歳過ぎまで会津で暮らした。

 会津若松観光ビューローの新城猪之吉理事長(72)=末廣酒造社長=は大学卒業後に民間会社に勤務し、初任地が岡山だった。「岡山は第二の古里だが、当時は会津との縁を知らずに駆け回っていた。企画展をきっかけに、両地の絆がもっと強まるといい」と願った。

 来月から漆器製造メーカーに勤める市内の鈴木朋美さん(44)は、美術品や工芸品について学ぼうと会場を訪れた。今年7月に両親の出身地である市内に移住し、地域の歴史を学ぶため市民講座などに足しげく通っている。「遠い岡山とも縁があったことに会津の歴史の奥深さを感じる。岡山に会津ゆかりの美術品が伝わっていることもあるのだろうか。想像が膨らんで楽しい」と目を輝かせた。

 県内では見ることが難しい岡山の名品の数々が来場者を魅了している。日本美術刀剣保存協会会津支部長の渡辺明さん(78)は、国宝の「名物九鬼正宗」をはじめとする刀剣に見入った。「刃文や反り具合の美しさがどれも見事だ。これまで日本美術などに関心がなかった人にもぜひ見てほしい」と話した。

【ガイド】

◎会 場=会津若松市・県立博物館

◎会 期=12月4日まで

◎時 間=午前9時30分から午後5時

◎休館日=月曜日(ただし10日は除く)、11日、11月24日

◎観覧料=一般・大学生1300円、高校生800円、中学生以下無料(ただしふくしま教育週間の11月1日から7日は高校生以下無料)

◎主 催=名君の大名文化展実行委員会(県立博物館、福島民報社、福島テレビ)

◎特別協力=林原美術館

◎協 力=岡山県立美術館