
先人の遺産守りつなぐ
会津若松市の県立博物館で開催中の企画展「名君の大名文化-岡山池田家と会津 武、その華と志」に特別協力している林原美術館(岡山市)の谷一尚館長は21日、オンライン取材に応えた。展示の中核をなす美術館資料群は「戦災などを経て奇跡的に残った」とし、観覧を呼びかけた。
-国宝、国重要文化財を多数展示中だ。
「貴重な資料を岡山から遠く離れた場所で見てもらう基本姿勢がある。能装束や刀剣など複数の分野にわたり多数の資料を貸し出すのは昨年の熊本に次いで2例目だ」
-多くの人が知る歴史上の人物が関わった品も多い。
「徳川家康に献上された後に伝来した国宝『九鬼正宗』、豊臣秀吉や家康が池田家に当てた書状を展示している。為政者の文書は池田家の存続にとっても大事だったのだろう」
-なぜこれほど多くの名品が現存するか。
「整理して引き継いだ池田家の人々の思いがある。さらに実業家林原一郎氏が池田家をはじめ、大名家の名品を集めた。太平洋戦争時の空襲を逃れ、名品を入れた蔵が焼け残ったのも大きい。先人の遺産をわれわれが守り次の世代へつなぐにはどうすればいいか、考えていかねばならない」
【ガイド】
◎会期=12月4日まで(11月6日まで前期、11月8日から後期)
◎時間=午前9時30分~午後5時
◎休館日=月曜日、11月24日
◎観覧料=一般・大学生1300円、高校生800円、中学生以下無料(11月1日~6日は高校生以下無料)
◎主催=名君の大名文化展実行委員会(県立博物館、福島民報社=創刊130周年記念事業=、福島テレビ)
◎問い合わせ=県立博物館 電話0242(28)6000
※谷一館長は10月29日午後1時30分から、県立博物館で「林原美術館コレクションの形成」と題して講演する。
※福島民報社はホームページ内に、企画展会場を視聴できる動画を掲載している