
福島県相馬市尾浜にある川口稲荷神社で28日、3月に発生した福島県沖地震により倒壊した鳥居の完成式が行われた。神社は松川浦に出入りする船の守り神として長年信仰されており、鳥居の再建を関係者が喜び合った。
川口稲荷神社の鳥居は東日本大震災の津波で流失し、管理する相馬双葉漁協が再建委員会を組織して2015(平成27)年10月に再建された。だが、3月の地震では震度6強の揺れを受け、鳥居が崩れ落ちた。
今回の再建には市内の建設会社・小野中村が協力し、漁協に新しい鳥居を寄贈した。大きさは、高さ約3・8メートル、幅約5メートルで従来のものと同じだが、ステンレス製で耐震性に配慮した。
完成式には漁業関係者と小野中村の代表者合わせて約30人が出席し、一人ずつ玉串をささげて地域の安寧などを願った。今野智光組合長は「度重なる被災に悩まされていたが、再建の申し出を受け、組合員だけでなく地元住民も感謝している」と謝意を示した。
小野中村の小野貞人社長は「相馬にとって重要な漁業の振興のためにも、地元企業として再建に協力できてよかった。災害に負けず、地域の方々が明るい新年を迎えられるよう願う」と話した。