福島県内で初めて新型コロナウイルス感染者が確認されてから、7日で丸3年となる。変異を繰り返した新型コロナが8回にわたる感染流行の波を次第に大きくし、深刻な医療逼迫(ひっぱく)、社会・経済活動の停滞などを引き起こした。政府が今春から対策の緩和に大きくかじを切る中、感染再拡大を巡る対応など課題が残る。
県内の累計感染者は4日現在、40万262人で、死者は計822人に上る。県内で初めての感染確認は2020(令和2)年3月7日、集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客だった。
2021年7月にデルタ株による流行の第5波に入ると連日100人超の感染者が確認され、肺炎で重症化する患者が相次いだ。昨年1月には感染力が非常に強いオミクロン株への置き換わりに伴って、感染が爆発的に拡大。2021年までの2年間で9523人だった累計感染者は、昨年1年間で33万4638人と急増した。
県はこれまで計6回、「非常事態宣言」や「BA・5対策強化宣言」の発令、「まん延防止等重点措置」の適用などを通し、飲食店への時短営業要請、県民の医療機関の適正な受診などを促した。県民はワクチン接種などの予防策に努めてきた。県内のオミクロン株対応ワクチンの接種率は2日時点、53・6%で全国平均を9・7ポイント上回っている。ただ、県内では連日100人を超す感染者が確認されており、予断を許さない状況が続く。
一方、政府は13日からマスク着用を個人の判断に委ね、5月8日には感染法上の位置付けを季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行する。「ウィズコロナ」により、コロナ禍で疲弊した社会・経済活動の本格的な再生への期待が高まる。
だが、感染再拡大への懸念は根強い。県は来月、感染症対策課を新設して備えを強化する。内堀雅雄知事は全国知事会を通じ、政府に対して医療費や病床の確保、ワクチン接種の国費負担の継続を引き続き求める考えだ。
5類に引き下げ後も、重症化リスクの高い高齢者らの感染をいかに防ぐかが課題となる。県が先月公表した第7波と第8波での死者に関する分析結果では60歳以上の高齢者が97%を占めた。県新型コロナ対策本部医療対策班長の金成由美子医師は「マスク着用の判断が個人に委ねられる中、重症化リスクを正しく理解した上で県民一人一人に適切な対策をお願いしたい」と呼びかけている。