新型コロナ 福島県内の情報

マスク緩和、福島県民様子見 個人判断、多くは着用 「線引き曖昧」との見方も

2023/03/14 10:09

  • Facebookで共有
  • Twitterで共有

 政府は13日、新型コロナウイルス対策のマスク着用ルールを個人の判断とするよう緩和した。屋内では原則着用を求めていたが感染症法上の位置付けを5月8日から「5類」に引き下げるため、新指針を策定し、対応を早めた。マスクによる感染対策を約3年ぶりに転換した。平時への移行を進める狙いだが、移行初日の福島県内はマスク姿の県民が多く、「コロナ前」の景色が戻るには時間がかかりそうだ。

 13日夕、福島市のJR福島駅東口では家路に就く人の大半がマスク姿だった。同市の会社員鹿目友梨さん(25)は「職場が老人ホームなので通勤時も着用を続ける」と話した。

 マスクを外す選択をした人もいる。須賀川市の飲食業大蔵了さん(42)はノーマスクで郡山市の職場に通勤した。「仕事中はマスクを着けるが、徐々にマスクレスの日常に戻ってほしい」と願った。会津若松市のスーパーを訪れた只見町の自営業酒井敏浩さん(62)は脱マスクを待ち望んでいた。「初日から外す人は少ないと思うが、時間がたつにつれ増えてくるだろう」と話した。

 新指針ではマスク着用を推奨する場面として通勤ラッシュなど混雑した電車やバスに乗る時や、病院での受診、高齢者施設を訪問する時などを例示しているが、施設や事業者側には「線引きは曖昧」との見方もあり、感染状況を注視しながら対応している。

 本宮市の介護老人保健施設まゆみの里は重症化リスクの高い高齢者を守るため、面会の家族や外部の業者らのマスク着用などの対応を継続する。福島市は窓口対応など市民と接する際には職員のマスク着用を基本とした。会津地方でスーパーを展開するコープあいづの各店舗は5類移行まで従業員のマスク着用を継続する方針。白河市の白河国際カントリークラブは不特定多数の来場者と接する従業員はマスク着用を継続する。

 一方、需要が落ち込んだ化粧品の売り上げが回復するなどの変化も出ている。郡山市のうすい百貨店でメーク用品などを扱う「クリニーク」では、1日から13日までの売り上げが前年同期比で24%増えた。販売員の斑目友音さん(26)は「口紅やチークへの関心が高まっている。緩和を機にさらにメークを楽しんでほしい」と話した。


 福島県の内堀雅雄知事は13日の定例記者会見で「思いやりある行動をお願いしたい」と県民に呼びかけた。感染が続いている実態は変わらないとも強調し、基本的な対策の徹底を改めて促した。

 マスク着用は個人の判断が基本としつつ、医療機関や高齢者施設への訪問など着用が効果的な場面があると指摘し、感染や重症化のリスクを正しく理解してほしいと訴えた。

 県内の感染状況は減少傾向にあるとの認識を示し、「まずは2ケタの新規感染者数の日が連続していくことが重要だ」と述べた。