新型コロナ 福島県内の情報

福島県民「安心のために」 コロナワクチン秋接種開始 9月11~17日の感染者、定点当たり18・28人

2023/09/21 10:05

  • Facebookで共有
  • Twitterで共有
ワクチンの秋接種を受ける男性=20日午前11時10分ごろ、福島市
ワクチンの秋接種を受ける男性=20日午前11時10分ごろ、福島市

 新型コロナウイルス感染の「第9波」とされる流行が続く中、オミクロン株派生型「XBB・1・5」に対応した改良型ワクチンの無料の秋接種が20日、始まった。福島県内では準備の整った23市町村で開始され、各医療機関ではワクチン接種を受ける人の姿があった。一方、医療関係者は感染症法上の位置付けが5類に移行して「(県民に)感染防止対策の緩みが見られる」と指摘。重症化リスクのある高齢者や基礎疾患のある人に接種を呼びかけるとともに、基本的な感染対策の徹底を求めている。


 福島市の岩谷医院には20日、1日の定員上限の12人が訪れた。予約の受け付けが始まった13日ごろからひっきりなしに問い合わせがあり、9月分の枠は埋まった。10月分も徐々に予約が入っているという。

 県によると、県内の3回以上のワクチン接種率は17日現在、24・1%にとどまる。岩谷章司医師は「(ワクチン接種により)重症化を防ぐ効果は科学的に証明されている。通常医療を守るためにもワクチン接種や感染対策を進めてほしい」と訴えている。

 対象は初回接種が済んでいる生後6カ月以上の人で原則、自治体から接種券が届き、医療機関などに予約する。接種場所が指定されている場合もある。県は接種を始めた市町村を非公表とした。「自治体への問い合わせが殺到する可能性があるため」としている。

 県民も感染拡大に警戒感を強める。郡山市の女性(68)は5類移行後も予防対策を続けているが、感染再拡大に不安を募らせる。「誰がコロナにかかっているか分からない。高齢でもあるので、ちょっとした外出でも手洗いうがいを徹底する」と気を引き締める。

 福島市の薬局事務員大野奈津美さん(34)は8月以降、発熱し薬局を訪れる患者が増えてきたと実感している。これまで6回ワクチンを打ったというが「今後も安心のため打ち続ける」と話した。


■県「依然、注意必要」 高齢者施設、警戒強める

 県は20日、11日から17日までの1週間に県内82の定点医療機関で確認された新型コロナウイルスの感染者数は、1医療機関当たり18・28人だったと発表した。前週(4~10日)の24・13人に比べ5・85人減ったが、県は「依然として注意が必要な状況」としている。

 新型コロナの感染症法上の位置付けが5類に移行した5月上旬以降の感染者の推移は【グラフ】の通り。5月8日から同14日までの1週間の報告数は3・15人だったが徐々に増加し、お盆以降の8月14日から同20日にかけ25・27人に急増。全国平均を上回った。

 日本学校保健会によると20日午後5時現在、新型コロナによる出席停止の児童・生徒数は県内で912人に上る。公立学校の学級閉鎖は会津若松、いわきの両市で各3クラス、伊達市で2クラス、福島市で1クラスの計9クラスだった。

 感染再拡大に、重症化リスクが高い高齢者が生活する施設では、警戒を強めている。福島市の高齢者施設では先週末から入所者の感染が相次いでいる。5類移行後、面会の人数や時間の規制を段階的に緩めてきたが、再び入所者と家族らとの面会や職員の会食の制限を講じている。担当者は「職員は他の職種に比べれば感染対策を講じてきただけに残念。いま一度気を引き締めて感染防止に努めたい」と話している。