岡山県「邑久かき」がMSC漁業認証を「条件なし」で更新~現場主導のサステナブル漁業モデルとして、世界水準の実践が継続~

2025/06/24 10:00

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株式会社UMITO Partners
「ウミとヒトのポジティブな関係をつくる」をパーパスに海のネイチャーポジティブを推進する株式会社UMITO Partners(本社:東京都中央区、代表取締役:村上春二)がコンサルティング支援をする、岡山県邑久町漁業協同組合の「邑久かき」が2025年6月12日に、MSC漁業認証の初回更新審査を“条件なし”で通過しました。

2020年に世界で初めて垂下式カキ漁業で世界初のMSC漁業認証取得してから5年。漁業者主体による継続的なモニタリング・改善活動が評価され、サステナブルな漁業における世界的な成功事例の基準とされる「条件なしのMSC漁業認証」として評価を受けました。



世界初のMSC漁業認証取得
昔からカキ生産で有名な瀬戸内海沿岸の町・瀬戸内市邑久町。高齢化や担い手不足の課題に直面する中、2019年に株式会社マルト水産が主導し、邑久町漁業協同組合とともに認証取得プロジェクトを始動。UMITO Partnersの支援のもと、MSC本審査に必要な定性調査やオペレーション改善を進め、本審査から認証取得まで通常18ヶ月かかるといわれるところ、異例の7ヶ月で、同年12月に世界初の「垂下式カキ漁業」認証を実現しました。
若手漁業者を中心としたMSCチームの奮闘
認証後は若手漁業者による「MSCチーム」が主体となり、スナメリの遭遇記録、底生生物のモニタリング、操業ルールの整備、自主的な清掃活動、勉強会開催など、持続可能な操業体制づくりを実践。これらの活動を通じ、認証取得1年後には認証漁業者の数は13人から30人に増加。

2023年には、すべての条件を解消し「条件なし」での年次審査通過を達成。現場の漁業者たちにより継続的・精力的にサステナビリティの取り組みが行われている、国内でも非常に稀な成功事例として注目されています。
初の“更新審査”を「条件なし」で完了
MSC漁業認証は、原則5年ごとの更新が義務づけられています。今回の更新審査にあたり、邑久町漁協では、2024年5月頃から審査に向けた準備を進め、同年10月に審査員による現地審査を受けました。

審査では、絶滅危惧種のモニタリング調査や底生生物の定期調査など、邑久町漁協MSCチームが継続してきた自主的な取り組みが改めて高く評価され、その結果、2025年6月12日付で、すべての審査項目が基準を上回り、「条件なし」での認証更新が正式に認められました。これは、日本国内でも極めて稀な成果であり、国際的に厳格な持続可能性の基準を日常的に実践している漁業者の努力と姿勢が高く評価された結果です。
ブランド力の向上と流通面での成果
また、「邑久かき」はUMITO Partnersが飲食店などに紹介するサステナブルな漁業に取り組む漁業者を応援するシーフードブランド「UMITO SEAFOOD」としての取り扱いも少しずつ増加しています。こうした意義に共感をいただける販路の広がりが、地域経済への還元と生産者のモチベーション向上に繋がっていくことが期待されます。
今後に向けて
今後も邑久町漁協とマルト水産は、環境負荷の低減、若手漁業者の育成、脱炭素に向けた資材再資源化など、次世代に向けた多面的なチャレンジを進めていきます。

UMITO Partnersは、引き続き認証の維持支援および飲食店や消費者への訴求、流通支援を通じ、ウミとヒトの豊かな社会の実現を目指します。

<参考資料>
■【岡山邑久かきMSC認証取得のSTORY】世界初、牡蠣の垂下式漁「MSC漁業認証」の舞台裏。異例の早さで認証取得を実現した邑久町漁協の「海を守り、地域を発展させる漁業」とは
https://umitopartners.com/stories/msc-okayama/
■岡山県邑久町カキプロジェクト動画