三菱ケミカル
～油化リサイクル事業の拡大と原料多様化を目指す～
三菱ケミカルグループ※1（本社: 東京都千代田区、社長: 筑本学）はコーポレートベンチャーキャピタル子会社のDiamond Edge Ventures, Inc.（本社：米国カリフォルニア州、CEO：カーティス・シックナー）を通じて、使用済みプラスチックやバイオマスの革新的な油化技術を有する豪州Licella Holdings Ltd（以下「Licella社」）に出資したことをお知らせします。この出資は、Licella社が独自開発した「Cat-HTR(TM)」プロセスのグローバル展開と商業化を加速させるものです。
カナダ・プリンスジョージにあるLicella社のCat-HTR(TM)プロセス商業規模プラント
Licella社のCat-HTR(TM)プロセスは、高温高圧の超臨界水の中で使用済みプラスチックやバイオマスを油化し、精製して化学品原料やSAF（Sustainable Aviation Fuel）などを製造する革新的な技術です。三菱ケミカル株式会社はENEOS株式会社と共同してプラスチック油化ケミカルリサイクル事業に取り組んでおり、先般、三菱ケミカル茨城事業所（茨城県神栖市）にケミカルリサイクル設備を新設しました。同設備に採用した英国Mura Technology社の「Hydro-PRT (TM)」技術はLicella社のCat-HTR(TM)を基に構築されています。
Licella社のCat-HTR(TM)プロセスはプラスチックのみならず、木質残渣などのバイオマスも油化できることが特長です。三菱ケミカルが2025年3月27日に発表した「国内森林資源を活用したSAF等の製造事業の商用化へ向けた検討」においても、Licella社の技術を用いて木質残渣からバイオナフサ、SAF、バイオディーゼルなどの製品を製造することを想定しています。
三菱ケミカルグループは経営ビジョン「KAITEKI Vision 35」において、「グリーン・ケミカルの安定供給基盤」を注力事業領域のひとつに位置づけており、将来的なケミカルリサイクル設備の大型化を視野に入れて、原料多様化に向けた検討を進めています。今回の出資によりLicella社との連携を深め、使用済みプラスチックやバイオマスを原料に用いた油化技術の社会実装とリサイクル事業の拡大をめざしてまいります。
・Diamond Edge VenturesのCEOカーティス・シックナー氏のコメント：
「Licella社のCat-HTR(TM)プラットフォームは、これまでリサイクルが困難とされていた廃棄物やバイオマスを化学品やSAFなどに転換するソリューションを提供するもので、まさに『グリーン・ケミカルの安定供給基盤』を構築するために必要なイノベーションです。また、日本において森林資源を活用したSAFなどの製造事業の検討が進められている非常に重要な時期にLicella社と提携することで、低炭素社会・サーキュラーエコノミーへの移行が加速することを期待しています。」
・Licella社の共同設立者兼CEOレン・ハンフリーズ氏のコメント：
「Licella社にとって重要な時期にDiamond Edge Venturesおよび三菱ケミカルグループと提携できることをうれしく思います。このたびの支援は、Cat-HTR(TM)プラットフォームの商業適応性や、リサイクルが困難なプラスチックやバイオマスに対して低炭素ソリューションを提供するという独自性の高さを裏づけるものです。Licella社は化石資源を代替するソリューションの提供を進め、三菱ケミカルグループが掲げるビジョンの実現に貢献していきます。」
・Licella Holdings, Ltd.：https://www.licella.com/
※1三菱ケミカルグループは、三菱ケミカルグループ株式会社とそのグループ会社の総称です。
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