今を生きる 子どもの笑顔 地域の力 ピカピカ仮園舎に歓声

三宝保育園の仮設園舎で元気いっぱいの園児ら

 「先生、保育園がピカピカになったよ」。94人の園児が、真新しいプレハブの仮設園舎を元気いっぱい走り回っている。いわき市四倉町の三宝保育園の阿部美知子園長(55)は、園児の笑顔と歓声にほほ笑みながら、「子どもたちの笑顔が地域に元気、勇気、活力をもたらす」と、保育への思いを新たにしている。

■いわきの三宝保育園 子育て支援の拠点
 東日本大震災で、園舎が壊れ、1階の一部を除き使用できなくなった。保護者の要望を受け3月下旬には園を再開したが、園は東京電力福島第一原発から36キロの位置にある。原発事故の影響を懸念し避難する子どもたちも多く、134人いた園児のうち通園者はわずか2人に減ってしまった。
 「やっぱり四倉がいい」「古里で暮らし働きたい」。4月以降、避難していた家族が戻り園児の数も増え出した。働きながら懸命に子育てに励む保護者らの熱意に後押しされ、阿部園長は日本ユニセフ協会の財政サポート事業に申し込み県内で唯一の支援が決まった。
 園庭の一角の約500平方メートルに事業費約3600万円で保育室6部屋、職員室、保健室などが完成し今月14日から仮設園舎での活動が始まった。現在は0歳児から5歳児まで震災前の約7割に当たる94人が元気に通う。
 仮設園舎での活動初日、遊戯や楽器演奏、合唱を披露する無邪気な園児に阿部園長は「きれいな園舎で楽しく遊びましょう」と声を掛けた。
 園は県や市と財政支援の協議を進め、被災した園舎は来春をめどに取り壊す予定だ。本格的な新園舎建設の見通しは立たない。阿部園長は「保護者や地域の要望に応えられるよう安全、安心な保育園にしたい」と話している。
 日本ユニセフ協会は被災3県を支援し、本県は同保育園、宮城県は準備中を含め10施設、岩手県は2施設となっている。