放射線 放射性物質 Q&A コメの放射性セシウム測定法と結果は
今年も新米の季節になりました。コメに含まれる放射性セシウムはどのようにして測定しているのでしょうか。また現在までの測定結果はどうなっているのでしょうか。
【回答者】県放射線健康リスク管理アドバイザー長崎大教授 高村昇さん
■全袋スクリーニング検査基準値超えは一袋もない
放射性セシウムがコメに移行するメカニズムはまだよく分かっていない点も多いですが、これまでの調査結果では、土壌中のセシウム濃度だけでなく、土壌中のカリウム濃度も重要ではないかと考えられています。
福島県では平成24年度から、玄米に含まれる放射性セシウムの全量全袋検査が行われており、今年度も継続しています。全量全袋検査ではまず、全てのコメをスクリーニング検査によって測定した後、基準値を超える可能性が少しでもあるものを再度ゲルマニウム半導体検出器という測定機器を用いて精密に検査しています。
今月20日までの時点で、既に520万袋余りの検査が行われ、99・98%のコメが測定器の測定下限値である1キロ当たり25ベクレルを下回っています。一方、全体の0・0001%のコメで1キロ当たり50~75ベクレルの放射性セシウムが検出されていますが、基準値である同100ベクレルを超える放射性セシウムは一袋もありませんでした。
現在、日本人の一日のコメの消費量は平均で約160グラム、一年間で平均約60キロです。仮に1キロ当たり75ベクレルのコメを60キロ食べた場合、内部被ばくの線量は約0・06ミリシーベルトとなり、1ミリシーベルトを大幅に下回る線量となります。これは現在の基準値が、他の食品との組み合わせでの合算で年間1ミリシーベルトを超えないように、非常に厳しい設定になっていることによるものです。