「原発事故関連死」明確化 長期避難死者災害弔慰金制度に反映 根本復興相 因果関係の証明課題

根本匠復興相(衆院本県2区)は30日、東京電力福島第一原発事故に伴う長期避難で死亡したケースを「原発事故関連死」と明確にし、現行の災害弔慰金制度などに反映させる考えを明らかにした。福島民報社のインタビューに答えた。現行制度では、震災関連死として地震や津波で死亡した人と同様に運用しているが、避難の長期化で因果関係の証明が難しくなるなど特殊な課題がある。根本氏は、将来的に手続きを円滑に進められる方法などを幅広い観点から検討する意向も示した。
根本氏は、災害弔慰金制度の考え方について、原発事故が原因で長期避難を余儀なくされ、仮設住宅などで死亡したケースについては「原発(事故)関連死という概念で、(弔慰金を支払うという)整理をした」と説明。津波や地震の災害とは異なる、もう一つの関連死との認識を示し、「今後は運用の中で、より明確に(原発事故関連死と)分かるように工夫したい」と述べた。
原発事故関連死は避難が長期化すればするほど、死因の証明が難しくなる。専門家などからは、こうした特殊性に配慮した措置が必要との指摘が出ている。新たな立法措置、原発事故に特化した災害弔慰金制度などの必要性について、根本氏は「幅広い観点からの検討が必要」と語った。
震災と津波、原発事故の複合災害に見舞われた本県は、従来の自然災害では想定していない事態が相次いでいる。根本氏は、原発事故関連死も含め、担当省庁が明確に定まっていない事項に関し、「復興庁が先頭に立って全体を束ね、対応していく」との決意をあらためて示した。
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震災と原発事故で約14万7000人が避難生活を強いられる本県では、避難先で体調不良などで死亡する震災関連死が増え続けている。30日現在、原発事故関連死を含む震災関連死は1523人に上り、震災や津波による直接死1599人を上回りそうだ。
このうち、今年4月から8月末までの認定者数は76人で、同期比で宮城県の約8倍、岩手県の3倍余りとなっている。76人は原発事故の避難区域の市町が大部分を占めており、避難生活の長期化に伴う心身のストレスなどが影響しているとみられている。
現行の災害弔慰金制度は市町村が震災関連死と認定した場合、遺族に弔慰金を支払う。