今を生きる 古里思い よさこい踊り 共演し絆強める

大勢の観客の前で迫力ある踊りを披露した両団体のメンバー

■南相馬 相馬さむらい連、粋咲翔舞 2011喝祭きたかた出演
 風を切るよさこい旗、高まる鼓動。勇壮な音楽に乗って、2つの衣装が躍動する。心は一つ。踊らせてもらえる感謝を、全身で伝えたかった。
 3日に喜多方市で開かれたよさこいイベント「2011喝祭(かっさい)きたかた」では、南相馬市の県立テクノアカデミー浜自動車整備科のよさこいクラブ「相馬さむらい連」と、南相馬市の愛好者団体「粋咲翔舞(いざしょうぶ)」が合同チームで参加した。
 両団体ともに震災で活動休止を余儀なくされ、一時は踊ることを諦めた。だが、よさこいへの情熱は捨てきれなかった。「粋咲翔舞」代表の長家直政さん(43)は昨年、テクノアカデミー浜の学校祭で共演した「相馬さむらい連」に、9月の「うつくしまYOSAKOIまつり」への合同出演を持ち掛けた。
 「相馬さむらい連」キャプテンの小野田龍さん(2年)は「また躍れると思うとうれしかった」と振り返る。両団体ともに6月から練習再開。喜多方市塩川町の会津校を間借りする自動車整備科の生徒は同校体育館で週2回練習に励んだ。「粋咲翔舞」も練習場所の確保に苦労しながら踊りを磨いた。
 大会当日、「粋咲翔舞」は群馬、埼玉両県に避難する仲間も駆け付けた。はじける笑顔。全員が踊れる幸せをかみしめた。
 「喝祭きたかた」への出演は小野田さんが誘った。合同練習は1回のみ。それでも呼吸はぴったりだった。復興を支えてくれる人への感謝を込めて「花舞(はなまい)」「蒼雪(あおゆき)」を踊った。
 2つの共演で両者に絆が生まれた。「来年卒業したら粋咲翔舞に入りたい」と小野田さん。長家さんも「一緒に南相馬市の復興を盛り上げていこう」。いつか、古里で同じステージに立つ日を夢見ている。