今を生きる 小高に帰る思い一つ

来場者に餅を振る舞う斎藤さん

■紅梅ふれあい会 斎藤幸子会長
 「みんな、会いたかったんだね」。全域が警戒区域に指定された南相馬市小高区の住民が集った「小高へ帰ろう!の集い」は6日、市内鹿島区の万葉ふれあいセンターで開かれた。主催した紅梅ふれあい会の会長、斎藤幸子さん(47)は涙を流し再会を喜び合う来場者の姿に胸を熱くした。

■避難者集うイベント企画 1000人超参加、大声大会も
 斎藤さんは東日本大震災後、家族と共に福島市に一時避難した。家族で営んでいた小高区の葬儀屋の事業所は津波で流され、夫と母親は危うく波にのまれるところだった。
 4月上旬、原町区に移り休業を余儀なくされた会社の事務手続きに追われた。原町区での避難生活が長くなるにつれ、「避難しているだけでは駄目なんじゃないか」と自問する日々が続いた。忙しさの中、小高区から避難している知り合いと顔を合わせるとほっとした。「避難している人が1人でも多く、親しい人に会える場所をつくりたい...」。
 同じ気持ちの人たちとふれあいの会をつくった。イベントの開催に向け、行政や商工会に協力を求め実施にこぎ着けた。
 集いには市内外に避難している延べ1000人を超す小高区民が集った。大声大会では、子どもたちが次々と壇上に上がり、「小高に帰るぞ」「がんばっぺ小高」と古里への思いを小雨降る曇り空にぶつけていた。
 斎藤さんは「にぎやかなことが好きな小高の人たちが笑顔で集まった。いつ戻れるか分からないけれど、できるだけ一緒にいられる機会を設けたい」と目を潤ませた。