今を生きる 郡山に避難者と歩む店 仮設で再出発

開店した仮設店舗内で意欲を語る泉田さん夫妻

■大熊でセブン-イレブン経営 泉田一就さん 悠子さん
 大熊町で「セブン-イレブン大熊中央台店」を営んでいた泉田一就(かずなり)さん(51)は18日、避難先の郡山市で「ビッグパレットふくしま前仮設店舗店」をオープンさせた。大熊中央台店は東京電力福島第一原発から3.2キロ地点の警戒区域内にあり、立ち入りすら自由にできない。「同じような境遇の人たちの力になりたい」と仮設店舗は富岡町、川内村の仮設住宅の近くに設けた。
 泉田さんは妻悠子さん(46)と共に21年にわたり店を営み、町で"老舗"のコンビニとして親しまれていた。しかし、原発事故が全てを変えた。一時、家族と共に栃木県に避難し、その後、郡山市の借り上げ住宅に身を寄せた。働き続けた毎日から一転して、悶々(もんもん)とした避難生活を送る日々に。知人を頼って別の店を手伝ってみた。「再び店を開きたい。できれば避難者に寄り添える場所で...」。思いは募るばかりだった。
 セブン-イレブン・ジャパンなどと話し合いを重ね、富岡町、川内村の人たちが避難している郡山市南2丁目の仮設住宅近くに仮設店舗を設けられることになった。従業員15人のうち7人は富岡、大熊の両町から避難している人を採用した。セブン-イレブンとして県内初の仮設店舗となった店はプレハブで、これまでよりやや狭いが、お年寄りらの食生活に配慮して総菜類を多めにそろえた。初日から仮設住宅に住む人たちが訪れた。「近くて便利」「にぎやかになってうれしい」と店内に笑顔が広がった。
 「みんなで古里に帰る日まで全力で働きたい」。悠子さんや従業員と共に接客や商品補充に追われながら久しぶりのユニホームの感触に誓っていた。