音楽への熱意 心一つに 原発事故で離散...各自練習 大舞台活躍誓う

■マーチング&バトンコンテスト全国大会出場 原町一小「H-Seeds」
ばらばらになっていた子どもたちの心が「マーチングバンドをやりたい」という願いで一つになった。南相馬市の原町一小マーチングバンド「H-Seeds(原町の種)」は、原発事故で避難中の児童19人を含む33人のメンバーでマーチング&バトンコンテスト・オンステージ全国大会に出場する。部員は晴れ舞台での悔いのない演奏を誓っている。
同校は昨年度、全日本バンドフェスティバルで金賞、全国マーチング大会で銀賞に輝いた実力校。しかし、原発事故で多くの児童が県内外に避難し、学校は閉鎖。児童は7カ月も鹿島区の鹿島小にバス通学した。57人いた部員は一時、9人まで減った。
しかし、子どもたちの強い願いに保護者も「何とかしてやりたい」と結束して準備を開始した。昨年6月に相馬市で活動を再開し、目標を全国大会がある同大会に絞った。部員は半数以上が山形、東京、仙台、会津若松市などに避難しているため、歩幅60センチの基準で作られた設計図を頼りに独自に練習を重ねた。「合同練習は合宿を含めて7、8回だけ。その分、しっかり集中できた」と、指導の菅原央教諭は頑張りをたたえる。
全国のライバル校が衣装やシューズ、ガードの旗、義援金など支援の手を差し伸べてくれたのも、大きな励みになった。
東北大会は1月29日、仙台市で開かれた。曲は「天空の城ラピュタより4曲」で、トランペットのソロ、ガードの旗交換などの難しい技をこなし、見事に全国大会出場を射止めた。
■教育長に出場報告
リーダーの佐藤寿彦君、小野匡斗君、元内瑠里さん(ともに6年生)と高野敦夫校長、菅原教諭が3日、市役所を訪れ、青木紀男教育長に出場を報告した。高野校長は「運営は保護者が中心で、熱意が実った」と話した。
全国大会は18、19の両日、横浜市で開かれる。青木教育長は「家族や全国の応援への感謝を忘れず、気持ちを一つにして頑張ってほしい」とエールを送った。