原発事故で休業 感激の店舗再開 ふねひきパークに出店 避難者も来店

■浪江のショッピングセンター「サンプラザ」 運営会社社長 松原茂さん
東京電力福島第一原発事故で警戒区域となった浪江町のショッピングセンター「サンプラザ」が8日、田村市船引町の商業施設「ふねひきパーク」にオープンした。開店式典で運営会社マツバヤ社長の松原茂さん(51)が「再開に5年か10年、それ以上かかると思っていた。震災直後から動いてくれたスタッフに支えられ、この日を迎えられた」と感謝の言葉を述べた。涙ぐむ女性従業員もいた。
サンプラザは昭和54年に浪江町の中心部に開店、地域密着の複合商業施設として親しまれていた。しかし原発事故で休業に追い込まれ、従業員約200人は避難先に散らばった。
松原社長らは昨年秋に郡山、二本松両市に仮事務所を構えて再開準備に入った。浪江町民が避難する仮設住宅を訪ねてのカタログ販売やインターネットショップの運営を続けながら出店先を探した。店舗面積や商圏人口などの面で希望と合致した「ふねひきパーク」への出店を決めた。
新店舗の売り場面積は約1400平方メートルで浪江町の本館の半分程度。しかし、婦人服や化粧品、インテリア、寝具などできる限りの品ぞろえに努め、東日本大震災から一年を前に、待望の店舗営業を再開した。
開店式典では冨塚宥暻市長が「苦難の末の出店を市民一同で歓迎します」と祝福し、関係者がテープカットした。
郡山市の借り上げ住宅から来店した伊藤ヤス子さん(76)は「浪江のお店と雰囲気が似ている。地元を思い出します」と笑顔で買い物を楽しんでいた。