よさこいもう1度 仲間に呼び掛け新団体 今月から活動本格スタート

杉戸町の満開の桜の下でよさこいを披露するメンバー

■富岡の伊藤孝さん(42)
 富岡町で盛んだったよさこい踊りを復活させようと、住民有志が新たな団体「チーム富岡さくらYOSAKOI」を発足させた。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で全国各地に避難した仲間たちに呼び掛け、再集結。震災前に3団体約70人いたメンバーは15人ほどに減ったが、今月から本格的に活動をスタートさせる。
 富岡町には震災前、「とみおかWASSE」「桜風舞輝(さくらふぶき)」「楽舞心輝(らくぶしんき)」の3団体があり、練習に励んでいた。練習の成果は毎年4月に町内の夜の森公園などで開催される「夜の森桜まつり」のメーンイベント「さくらYOSAKOI」で発表していた。毎年全国から約50団体が集まり、各団体は桜の花の下で競うように演舞を繰り広げていた。
 しかし、震災によりまつりは中止。町内の3団体はメンバーへの連絡や日程調整、練習場所の確保が難しいといった状況から解散を決めた。
 今年2月になり昨年のさくらYOSAKOI実行委員長だった伊藤孝さん(42)らが新団体設立に向けて動きだした。「よさこい踊りが生活の一部だった震災前の日常を取り戻したい」と3団体の代表に提案。3月18日にいわき市内で初めて練習を行った。郡山市や福島市から約20人が集まった。4月8日には町の姉妹都市・埼玉県杉戸町での初演舞にこぎ着けた。
 メンバーは今後、新曲を作る方向で話し合っている。振り付けを考えたり、衣装をそろえたりする新たな作業を楽しみにするメンバーも出てきた。杉戸町の満開の桜の下で踊りを披露した郡山市に住む久保富美子さん(42)は「新チームとして踊ることができ、充実感があった。今後も踊り続けることが大切」と笑顔を見せた。
 新団体代表には伊藤さんが就いた。伊藤さんは「練習環境など大変な面も多いが、震災前と変わらず前向きに進みたい」と言葉に力を込めた。