震災で倒壊の登窯 全国から支援、復旧へ 棚倉出身の大塚さん呼び掛け
■会津本郷焼・宗像窯
東日本大震災で被害を受けた、会津美里町の会津本郷焼窯元・宗像窯が所有する町指定史跡「登窯(のぼりがま)」が、復旧に向けて動きだした。19日、現地で復興祈願式が行われ、本県を代表する伝統的工芸品を生み出す登窯の再生に関係者は大きな期待を寄せた。
登窯は江戸時代中期に築かれたとみられ、会津本郷焼の歴史を伝える貴重な文化財とされている。山の斜面に全長20メートル、幅5メートルにわたって7つの窯室があるが、震災で2つが倒壊した。
宗像利浩8代目当主(55)の知人で棚倉町出身の大塚孝義日本シビックコンサルタント社長(63)が登窯の被害を聞き、昨年秋に「宗像窯登り窯再生プロジェクトの会」を発足させた。大手建設会社役員や大学教授らが参加し、全国に工事費などの支援を呼び掛けた。
プロジェクトの会によると、復旧に掛かる工事費用は約1000万円を見込んでおり、これまでに約110の企業や個人から合計約700万円の支援金が寄せられた。復旧作業は栃木県の益子焼の窯師川尻浩史さん(66)を中心に行われる。
祈願式では、宗像当主や大塚社長、協賛社代表の味の素ゼネラルフーヅIC・RC事業部の小沢章二ICグループ統括マネージャーが玉串をささげ、工事の無事を祈った。大塚社長は「陶芸家も土木技術者も、ものづくりへの思いは同じ。会津本郷焼のシンボルとしてよみがえることを祈る」と語り、宗像当主は「これほど早く復旧に向かうことに感謝する」と話した。
この日は東京などから訪れた建設会社社員らが、がれきの撤去作業に当たった。工期は3カ月程度で、10月ごろに完成した窯に火入れする予定だ。
支援金の問い合わせは事務局の日本シビックコンサルタント 電話03(5604)7536へ。