本県漁業守る 相馬双葉漁協 試験操業 1年3カ月ぶり水揚げ

試験操業で出漁した相馬双葉漁協所属の底引き網漁船6隻が14日夕、相馬市の松川浦(相馬原釜)漁港に帰港し、本県沖で捕獲したタコ、ツブ貝の3魚種を水揚げした。福島県では東京電力福島第一原発事故の影響で出漁自粛が続いており、調査出漁ながら、流通までを視野に入れた本県沖での操業は東日本大震災後初めて。
魚介類は、生鮮品とボイル加工品の2種類に分け、サンプルの放射性物質検査を15日まで実施する。
検査結果を18日の県漁協組合長会で検証し、20日以降の操業の流通の是非を決める。問題がなければ県内外で販売し、売れ行きなどを調べる。
期待と不安交錯
「少しでも前に進んだ」「消費者はどう受け止めるのか」。漁業関係者には期待と不安が交錯した。
トップを切って帰港した第3恵永丸船長の高橋英智さん(49)は「消費者がどう受け止めてくれるか。不安な気持ちもあるが、少しでも前に進むことができた」と冷静に受け止める。
消費動向などを見据え魚種や水深が制限された厳しい操業条件だった。カレイやタラなど大量に捕獲できた魚は再び放流しなければならなかった。第8勝丸船長の立谷修一さん(35)は「せっかく取れた魚だったが」ともどかしさを口にした。
第12観音丸船長の草野聡さん(42)は今春、長男がいわき海星高に入学した。「自分も父親の背中を見て育った」。地域の漁業の担い手となる世代のため、厳しい環境下でも前進することを誓っていた。
「問題がなく安全であることを祈りたい」。出漁した関係者は18日の県漁協組合長会による判断を静かに待っている。