復興のシンボルに 村外生産者も出品協力 29日、新たなスタート

■川内村の農産物等直売所「あれ・これ市場」
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故以降、営業を休止していた川内村の農産物等直売所「あれ・これ市場」が29日、再オープンする。村の特産品を販売する農商連携の施設で、井出茂村商工会長(57)は「営業再開は復興への一歩。生産者の生きがいにもなるはず」と前を見据えている。
「市場」は村の事業所でつくる合同会社かわうち屋が平成22年4月にオープンさせた。高原野菜をはじめとする新鮮な農産物やソバなどを販売していた。村商工会によると、オープンから震災発生日までの間に約2000万円の売り上げがあったが、全村避難に伴い、やむなく営業を休止した。
1月の帰村宣言を機に営業再開を求める声が村民や生産者から上がった。かわうち屋の関係者の間でも「市場」を復興のシンボルにしようとの機運が盛り上がり、3日に村商工会館で説明会を開き、再開を決めた。
当面は村内の農家から販売委託を受けた野菜類をはじめ生鮮食料品や加工食品、乾物などの食料品だけを並べる。商品量が不足する恐れがあるため、近隣市町村の生産者から野菜の提供を受けるなどして品ぞろえの充実を図る。価格は100円均一に設定する方針で、初日はキュウリなどの夏野菜を販売する予定だ。
20日に再度、説明会を開き、運営方法の詳細などを確認する。井出会長は「できるだけ多くの生産者に参加してもらいたい」と協力を呼び掛けている。