大舞台で伝統復活 郡山、若松27、28日 「全国大会」出場

復興支援を目的に27、28の両日、県内で初開催される地域伝統芸能全国大会には県内の伝統芸能を受け継ぐ54団体が集う。双葉町の女宝財(おんなほうさい)踊りを披露する前沢婦人会芸能保存会代表の半谷八重子さん(65)は「逆境でも灯は消したくない」と誓う。南相馬市鹿島区に伝わる塩崎の獅子舞は多くの子どもが避難し、存続が危ぶまれたが、保存会代表の佐藤昭夫さん(64)は大会で復活を期す。東日本大震災後、初の大舞台に気持ちを盛り上げている。
■双葉の前沢婦人会芸能保存会 女宝財踊り 絆守る
「苦しい避難生活の中でも仲間をつなぐ絆は守りたい」。双葉町前沢婦人会芸能保存会の半谷さんは語った。
毎年1月、双葉町の伝統行事ダルマ市に合わせ、女宝財踊りを披露していた。会員は11人。踊りには12人前後が必要で、半谷さんは後継者を育てようと平成20年ごろから30代の女性に声を掛け練習を始めた。
半谷さんの活動は震災と東京電力福島第一原発事故で水泡に帰した。自身は宇都宮市に避難。他の会員もいわき、郡山両市、神奈川県や埼玉県などに散り散りに。練習に加わったばかりの若い世代の避難先は分からないケースもあった。
今年5月、町から全国大会への出演の打診があった。「もう1度だけ公演しよう」。約35年間にわたり踊りを続けてきた半谷さんの呼び掛けに仲間が賛同してくれた。「みんなでまた踊りたい」
7月の一時立ち入りで、練習場所の三字公民館から、かさや太鼓、籠など踊りの小道具を持ち出した。しかし会員が交通費を掛けて1カ所に集まるのは容易ではなく、各自で練習を続けている。
半谷さんは「長年踊り続けてきた。音楽が鳴ればみんな自然に体が動き出す」と自信を見せる。震災後約1年7カ月ぶりに全員が顔をそろえる舞台。それでも「避難生活の不満や不安など募る思いがあるが、思いっきり楽しみたい。そしていつかはまた故郷で踊りたい」と前を向いた。
■南相馬の塩崎獅子舞保存会 子どもたち再結集
南相馬市鹿島区の塩崎(しおのさき)地区に伝わる「塩崎の獅子舞」は地域の子どもたちが受け継いできた。4人の子どもが獅子頭を頭に乗せ、太鼓を胴に巻いて踊る獅子舞は、先輩の鹿島中生が師匠となり踊り手となる真野小の児童に教えてきた。そのほかの子どもたち4、5人は太鼓をたたき踊りを盛り上げた。
毎年4月に奉納してきた日吉神社例祭は震災の影響で昨年は中止に。子どもたちは徐々に避難先から戻ってきたが、放射性物質の影響を心配する保護者も多い。今年の例祭は、祝詞を奏上し地区の公会堂内で踊っただけだった。今回は8人が伝統の舞を披露する。保存会の佐藤さん(64)は「獅子舞は住民を結ぶ大切な芸能」と、大会での復活に意気込んだ。
■本県の出場団体
八槻都々古別神社楽人会・八槻都々古別神社御田植保存会(棚倉)請戸芸能保存会(浪江)金沢黒沼神社十二神楽保存会(福島)会津鶴ケ城太鼓若駒会、空也光陵会、小松獅子保存会(会津若松)うつくしま連、音路太子堂3匹獅子舞保存会、岩代国郡山うねめ太鼓保存会、岩代国郡山うねめ太鼓保存会・同小若組、豊景神社太々神楽保存会、柳橋歌舞伎保存会、柳橋菅布禰神社3匹獅子舞保存会、柳橋菅布禰神社太々神楽保存会(郡山)いわきやっちき踊り上三坂保存会、絹谷獅子舞保存会、稚児田楽・風流保存会、いわき海星高、いわき特設高校生フラガールズ(いわき)白河根田安珍歌念仏踊保存会(白河)仁井田田植踊り保存会(須賀川)中ノ目念仏踊り保存会・会津念仏摂取講保存会、三島神社太々神楽保存会(喜多方)磯部敬神会、滝神社御手神楽芸能保存会(相馬)石井芸能保存会、木幡観光振興会、二本松神社例大祭提灯祭保存会、針道あばれ山車実行委員会(二本松)畑中太々神楽保存会(田村)塩崎獅子舞保存会、村上の田植踊保存会(南相馬)新田愛宕神社獅子踊り保存会(伊達)稲沢御田植踊保存会(本宮)山木屋太鼓「山猿」、八坂神社3匹獅子舞保存会(川俣)千葉之家花駒座(檜枝岐)田島祇園祭しゃんぎり保存会(南会津)赤枝青年会(磐梯)西久保彼岸獅子保存会(猪苗代)大芦ダイモチ引き木遣り保存会(昭和)中田区会(石川)南須釜念仏踊保存会(玉川)古殿町流鏑馬保存会、論田獅子舞保存会(古殿)小野大倉獅子舞保存会(小野)白河観光人力車新風亭(富岡)双葉町前沢婦人会芸能保存会、郡山無形文化財保存会、山田芸能保存会(双葉)室原郷土芸能保存会(浪江)葛尾3匹獅子保存会(葛尾)福田十二神楽保存会(新地)うつくしま復興PR隊(福島)
※地域伝統芸能全国大会福島大会「ふるさとの祭り2012」 実行委員会の主催、国土交通省、観光庁、経済産業省、文化庁、農林水産省、総務省などの後援。27、28の両日に郡山市の市民文化センターと会津若松市の会津総合運動公園で催され、全国から68団体が出演する。
