念願の新工場着工へ 「全壊」乗り越え感謝の気持ち胸に

従業員と共に新工場での再起を誓う日下部社長(右から2人目)

郡山の光自動車整備工場社長 日下部博幸さん(46)

 郡山市開成の光自動車整備工場社長の日下部博幸さん(46)は、東日本大震災で被災した自宅兼工場を解体し、近くに設けた仮店舗で営業を続けている。震災から1年7カ月余り。ようやく元の場所に工場を新築するための資金のめどが立ち、来春操業を目指して11月に着工する。「工場再建は多くの人の支援のおかげ」。感謝の気持ちを胸に、新工場でのサービス向上を誓っている。
 日下部さんは郡山市出身、郡山北工高卒。父親が創業した自動車整備工場を継ぎ、平成4年に社長となった。以来、自動車の修理、鈑金、塗装、中古車・新車販売などを幅広く手掛け、信頼と実績で顧客を増やしてきた。
 震災では鉄骨造り3階建ての自宅兼工場の基礎部分が損傷し、鉄骨の柱がひずむなどの被害を受け、郡山市が「全壊」と判定した。日下部さんと家族3人は借り上げ住宅を経て市内に購入したマンションに移った。
 工場は応急処置を施し、3人の社員と共に営業を続けた。4月から5月にかけて解体し、100メートルほど南の空き店舗に仮店舗を構えた。新工場は国の「グループ補助金」を活用して新築し、来年4月に操業を開始したいという。新工場では、新たにタイヤ販売のプロショップも始める。
 震災後は多くの顧客に励まされたほか、加盟する県中古自動車販売商工組合(JU福島)や全国の自動車整備会社でつくる「ロータスクラブ」からも物心両面で支援を受けた。日下部さんは「新工場ではサービスの質を上げ、再建を応援してくれた人や地域の顧客に恩返ししたい」と話している。