古里に歌声で恩返し 喜多方 ミニライブに200人感動 「自分が元気もらった」

■ボーカルグループ「ル・ヴェルヴェッツ」 佐藤隆紀さん(26)
 「帰ってまいりました!」。3日、喜多方市のTSUTAYA(ツタヤ)喜多方西店で開かれたボーカルグループ「Le Velvets(ル・ヴェルヴェッツ)」のミニライブ。メンバーで同市出身の佐藤隆紀さん(26)は、懐かしい古里の人々の前で歌声を響かせ、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興を目指す古里を勇気づけた。
 佐藤さんは喜多方高2年の時、音楽部で合唱を始め、国立音大演奏学科声楽専修で声を磨いた。卒業後の平成21年、オーディションに合格し「Le Velvets」の一員に。
 4人の仲間と、筋力トレーニングやダンス練習、路上ライブを重ね実力を付けた。昨年1月に初のCDを発売、今年8月にメジャーデビューした。「いつか喜多方で歌いたい」。古里や家族への思いが常にあった。
 原発事故後、母永子さん(55)に自分が暮らす東京都への避難を提案した。「つらくても頑張っている人がいるのになぜ逃げるの?」。母の返事に、はっとした。父隆さん(58)が店主を務める実家のラーメン店には多くの被災者が訪れていた。「あなたは歌で感動を与えるため頑張りなさい」。永子さんの言葉に、音楽活動への意欲を新たにした。
 3日のミニライブでは「ハレルヤ」やイギリスのロックバンド「クイーン」のヒット曲メドレーなど計6曲を披露、約200人の観客を魅了した。
 握手会では知人と再会を喜び合った。佐藤さんは「逆に自分が元気をもらった」と感謝する。メンバーの宮原浩暢さん(33)は「お客さんが温かかった」、佐賀龍彦さん(31)は「予想以上の人出でうれしかった」と話す。「Le Velvets」は世界を舞台にした活躍を目指すが、佐藤さんの郷土愛は変わらない。「次は喜多方プラザの大ホールで歌いたい」。古里に歌声で恩返しする決意だ。