10世帯、自力再建へ一歩 50回以上話し合って実現

感謝の気持ちを込めて記念碑を除幕した住民ら

■新地・岡地区に宅地造成「とわの会」
 東日本大震災の津波で被災した新地町の住民ら10世帯が内陸側に住居を移転するため、町内の岡地区に共同で宅地を造成した。記念碑を建立し、4日、現地で除幕式が行われた。

■関係者集い記念碑除幕
 津波で自宅を流失した元町議の松谷昭寿さん(68)ら釣師地区などの住民が移転する。要介護者を抱える世帯もあるため「なるべく早く住居を再建したい」との願いや、未曽有の被害規模に「行政にばかり頼っていては地域復興は進まない」との思いから自力再建を選択した。
 岡地区の農家3軒の協力を得て宅地跡、畑約8000平方メートルを購入した。昨夏から造成の準備に取り掛かり、遺跡調査、農地転用手続きを経て今年9月から本格的に工事を進めた。今後はそれぞれ住宅を建設していく。
 住民交流の場として中央部の約250平方メートルを公園として整備。地権者や行政、施工業者など周囲の支援に対する感謝の意を込め記念碑を建てた。関係者約30人が集って除幕した。
 50回以上の話し合いの場を持って移転を実現させた。「ついのすみか」としての「永遠」、10世帯の「和」と「輪」、話し合いの「話」の意味を込めて「とわの会」を結成した。
 会長の松谷さんは「生活再建はスタート地点に立ったばかり。今後も力を合わせて頑張っていきたい」と話している。