癒やしの空間目指す 「おうちカフェ凜」オープン

仲間と共に喫茶店をオープンさせた川島さん(中央)

■浪江から福島に避難 川島美幸さん(36)
 浪江町から福島市に避難している川島美幸さん(36)。福島市飯坂町の住宅を借りて喫茶店「おうちカフェ凜」をオープンさせた。東日本大震災前は浪江町で飲食店を経営していた。周囲からは「顧客が確保できない。開くべきではない」との声もあった。しかし、「地域のために何か活動したい」と決断。誰もがゆったりと過ごすことができる癒やしの空間づくりを目指している。
 川島さんは震災後、福島、猪苗代両市町を経て、昨年7月からは福島市内で避難生活を続けるようになった。浪江町での飲食店経営のノウハウを生かそうと、町の仲間2人に声を掛け、喫茶店を始める準備を始めた。
 友人らからは「もう少し時期を待つべき」という意見が相次いだ。しかし、「今動かないと自分が駄目になってしまう気がする」と、1年間世話になった福島市民が共に楽しめる憩いの場をつくることにした。
 浪江の雰囲気をさりげなく新店舗に残す工夫をする。震災前の飲食店を見守り続けたペンギンの置物と絵を持ってきて店内に飾った。自慢のコーヒーを注ぐカップやケーキ皿は大堀相馬焼を使用した。浪江町への熱い思いを形にした。
 開店すると、避難後に知り合った福島市の主婦や浪江町の会社員らが次々と訪れ、会話に花を咲かせている。「浪江も福島も自分にとって大切」。川島さんは新しい店舗に自分の夢を託している。
 店は福島市飯坂町月崎町12の6。営業時間は午前10時から午後5時まで。定休日は日曜、祝日。問い合わせは同店 電話024(573)1767へ。