地元生産者応援したい 被災した店舗を再建 来月10日から営業スタート

■郡山の食品販売業「富屋」社長 安藤紀彦さん(41)
郡山市開成の食品販売業「富屋」社長の安藤紀彦(としひこ)さん(41)は、東日本大震災で大規模半壊となった店舗「自然食品 とみや」を解体・新築し、3月10日から新店舗での営業をスタートさせる。東京電力福島第一原発事故の影響で一時は閉店も考えたが、顧客や取引先に支えられ再建にこぎ着けた。「商売を通じて地元の生産者を応援したい」と決意を新たにしている。
安藤さんは郡山市出身、郡山高、国学院大卒。富屋は江戸時代創業で、安藤さんは平成19年から社長を務めている。「自然食品 とみや」は3年に市内開成に開店して以来、地元農家の低農薬野菜やコメ、無添加の加工食品、卵、みそ、しょうゆ、酒などを販売し、熱心なファンが多い。
震災では、鉄筋コンクリート平屋の店舗が被災した。原発事故後は客が減少し、「商売を続けられるのか」と不安が募ったが、取引業者や顧客らの励ましで再建を決意。昨年9月から建て替え工事を進めていた。
新店舗は木造平屋で、売り場面積は約260平方メートル。新築費用は県の補助金などを活用した。工事中は同じ敷地にある「創空間富や蔵」内の仮店舗で営業を続けている。野菜などの商品は放射性物質の検査結果を公開し、消費者の安全と安心の確保に努めている。休館中の「創空間富や蔵」も4月1日から貸しホールとしての利用を再開する。
安藤さんは「将来は店内で地元食材を使った料理教室を開きたい」とし、安藤さんの母で同社専務の裕子さん(73)も「店舗内には新たに休憩スペースを設け、来場者の交流の場にしたい」と話している。
問い合わせは「自然食品 とみや」 電話024(939)7555へ。