伝統の祭典復活へ きょう小、中学生向け説明会 いわき田人・黒田地区

■地元の芸能保存会と本県出身在京大学生ら
いわき市田人町黒田地区で東日本大震災後に中止されている「黒田不動尊祭典」を復活させようと、地区内の黒田伝統芸能保存会と、本県出身の在京大学生らがつくる任意団体「チーム・アイ・アップス」は平成26年の再開に向けて取り組みを開始する。地域に伝わる獅子舞や棒術を奉納する地域の一大イベント。今春から保存会会長となった芳賀瑞房さん(56)は「伝統を復活させ、継承したい」と願っている。最初の取り組みとして獅子舞などを担当する小、中学生向け説明会が、7日午前8時半から市内の田人一小で開かれる。
地域の文献によると、祭典は江戸時代中期の天明年間から、毎年8月に開催。黒田不動尊に獅子舞と棒術を奉納し、秋の豊作を願ってきた。隣接する満照寺でも披露し、住民にとっての楽しみだった。しかし、数年前に祭典の運営の一翼を担ってきた地元の青年会が会員の減少でなくなった。さらに、震災で不動尊内の鐘突堂などが損傷したため平成23年から中止が続いている。
復活に向けて保存会とアイ・アップスは、「さいこうの、夏-PASS FOR 2014 PROJECT-」と題し、事業を開始。保存会が芸能と楽器の演奏を指導し、アイ・アップスが伝統芸能のPRや広報などを担当する。「さいこう」には「最高」と「再興」の思いを込め、市内外の興味を持つ人にも参加を促す。
今夏から、獅子舞、棒術、楽器演奏の指導を開始し、今秋に田人町で開かれる「ほっこり祭」での披露と、来年8月の祭典開催を目指す。芳賀さんは「かつては祭典で満照寺参道に人があふれ返った。人口が減少しており、地域外の人にも参加してもらい、再び盛大な祭典にしたい」と希望を語っている。
