安心の浜辺へ力結集 3年ぶりの海開き控え 津波想定し避難訓練

■四倉海水浴場安全対策実行委員長 長谷川直恵さん(82)
15日に3年ぶりの海開きを迎えるいわき市四倉海水浴場で12日、津波を想定した避難訓練が行われた。主催した四倉海水浴場安全対策実行委員会の委員長・長谷川直恵さん(82)は「大勢の人に海水浴を楽しんでもらえるよう、安全対策を十分に整える」と誓う。古里を大切にする心を原動力に海水浴場再開の準備を進める。
東日本大震災の津波などで自宅が全壊した。被災後、市四倉支所へ行くと、実行委員が10人ほど集まっていた。電気や通信が遮断され、避難所では毛布や水などの物資が不足していた。長谷川さんらは協力して市内の他の地区から物資を集め、避難所に届けた。経験したことのない事態の中、住民同士の絆は一層強まった。「多くの人に協力いただき、感謝は尽きない」と振り返る。
四倉海水浴場は震災前、大勢の家族連れや若者でにぎわっていた。再開に向け、実行委員約30人は6月に平消防署四倉分署員らを講師に招き、人工呼吸の手順を学び、自動体外式除細動器(AED)の使用方法を確認する救命救急訓練を受けた。
12日は住民ら約100人が貝殻や流木、ごみなどを回収し、避難訓練にも参加した。3年ぶりに設置された監視塔から津波警報の発令を知らせる放送が流れると、参加者は砂浜から、高くなっている6号国道付近まで一斉に駆け上がった。
実行委員は遊泳期間中は監視員として海の安全を見守る。毎日、砂浜上の放射線量を計測し、ホワイトボードに書いて監視塔のそばに掲示する。避難訓練も継続する予定だ。
長谷川さんは「みんなが被災し、傷ついた中で地域のため、他人のために力を出し合った。海水浴場に再びたくさんの笑顔が集まったら、苦労も報われるはずだ」と話す。
