【第1部 安心の尺度】(番外編)

第一部「安心の尺度」は、東京電力福島第一原発事故に直面した県民の放射線との闘いを、事故当時にさかのぼって報告しました。連載に対し、手紙やはがき、メールで、たくさんの感想や意見が寄せられています。その一部を紹介します。(取材班)
■想像を絶する介護職の使命感 福島市の無職女性(79)
「特別養護老人ホームに入所している皆さんにとっては天使のような存在の介護職員の方々の戸惑い、皆さんを守らなければとの使命感は私の想像を絶するものと、胸の震え、あふれる涙をこらえています。私の娘も老人施設でヘルパーとして皆さんのお世話をしています。人ごととは思えずにいます」
■避難での苦労に理不尽さ感じる 福島市の中学校教諭男性
「平成二十三年度に入ってから一人、二人と転出する生徒も出て、それ以上に浜通りの転入生徒がいました。移動していった生徒、移動してきた生徒の慣れない環境と不安定な生活の苦労などを思い出します。避難を継続している家庭、特に二重生活を支えている保護者の体の負担はいかばかりかと、原発事故に関わる出来事に理不尽さを感じています」
■日々のストレス、本当に切ない 会津美里町の介護施設職員女性(55)
「郡山に住む私の友人にも、保育園と小学校に通う子どもがいます。わが家に遊びに来たり、ボランティアの呼び掛けで東京や静岡などに出掛けたりして子どもたちを遊ばせています。仲が良かった夫婦間での意見の違いがあり、日々のストレスを考えると本当に切なくなり、なぜこんな理由で、こんなに苦しまなければいけないのかと怒りを抑えることはできません。私たちも行政に頼ることだけでなく、自分自身で決めていく覚悟を持たなければなりません」
■同じ境遇の生活、心強く感じる 郡山市の男性
「私も郡山市から京都へ避難した自主避難家族です。妻と子(四歳)を京都に残し、郡山で働いています。同じような方がいらっしゃるということに心強く感じます」
■科学的理解で健康不安解消を 桑折町の無職男性(61)
「専門家の『低線量の長期被ばくの健康への影響はよく分かっていません』という言葉ほど国民を不安にさせるものはありません。専門家でさえも分からないのだから、一般国民は不安で不安でたまらなくなります。長崎大大学院教授の高村昇氏が貴紙の放射線・放射性物質Q&Aで一ミリシーベルトの被ばくで細胞の遺伝子に一つ傷を付けるが、その傷は短時間で修復され、健康に影響を及ぼさないと述べています。医学、放射線生物学に基づく説明に耳を傾け、現状を科学的に理解する努力をするならば、不安は解消できると考えます。低線量で健康障害が起きたという事例は報告されていません」
■強い絆と闘志、得たものも多い 西郷村の自営業男性(59)
「震災と原発事故で福島県の多くの人が多大な損失を被ったのは確かです。しかし、それを嘆いていても解決も回復もありません。県民は強い絆を得たではないですか。意欲も闘志も結束力も以前よりはるかに強くなっているではないですか。損したおかげで得たものも多いのです」