初心忘れず夢へ進む 福島成蹊高1年 広野あみさん 16、飯野中2年 諒君 14 福島・飯野

警察官への応援を続けることを誓うあみさん(右)と諒君

■「いつもありがとう」

 福島市飯野町青木の114号国道沿い。青木小6年の広野あみさんと4年の諒君きょうだいは27日、いつものように道路脇に立った。国道を行き来する警察や自衛隊の車両に応援のメッセージを掲げ、「いつもありがとう」と大きな声で手を振る。3カ月以上前から1日も欠かさず続ける。夏休み、2人の立つ時間は長くなった。災害支援車両は少なくなった。「1台も通らない時もあるけど、福島のために頑張ってくれている人がいる限り、休まず立ち続けたい」
【平成23年7月28日付・ふくしまは負けない】

 警察官への応援は今も続けている。
 県外から福島県警に応援で派遣された警察官が宿泊している郡山市の旅館を父(仁さん)と訪ねて「がんばれ」と書いたメッセージを届けている。直接、会うのはちょっと気恥ずかしいので窓とワイパーの間にそっと挟んでいる。メッセージに2人の名前は書いていない。だが、1月にメッセージを受け取った新潟県警の警察官から手紙が届いた。
 「励みになりました。ありがとう」
 福島県警が2人のことを伝えたみたい。心遣いがうれしかった。今後も福島を応援してくれる警察官に感謝を伝える活動を続けていきたい。

■あみさん「誰かの助けに」

 福島市の福島成蹊高に進み、陸上部のマネジャーを務めている。選手のように脚光は浴びないけれど、警察官のように誰かを支えることに魅力を感じている。
 将来なりたい職業は今も変わらない。やはり警察官だ。そのために大学で法律を学びたいと思っている。憧れは、いつしか現実的な希望になった。
 川俣町山木屋地区に住んでいた祖父と祖母は川俣町の仮設住宅で避難生活を送っている。同じ境遇の人は今もなお、たくさんいる。警察官が避難先での不安を和らげる活動に取り組んでいることも学んだ。祖父母のように避難している人、困っている人に寄り添える強い心を持った警察官になりたい。
 自分では社交的で明るい性格だと思っている。多くの人と直接、接する機会が多い交番での勤務にも魅力を感じる。今は夢の実現に向かって自分を磨いていきたい。

■諒君「サッカー選手より警察官に」

 5年間で身長は20センチ伸びた。今はサッカーの練習に明け暮れる毎日だ。14歳以下の県選抜にも選ばれた。
 自宅の居間にはイタリアで活躍している本田圭佑選手のポスターを張っている。でも、その上に「警察官になる」と小学生の時に書いた紙を飾っている。将来のことはまだはっきり分からないけれど、願いがかなうならば、やはり警察官になりたい。
 道路の脇で声援を送った警察官たちの頼もしい姿が忘れられない。いつかあのようなたくましい大人になれればと思う。
 大切にしている言葉がある。
 初心忘るべからず-。パネルにして毎日、眺めている。
 5年前に抱いた気持ちを忘れずに目標が達成できるよう、何事にも全力で取り組んでいきたい。

114号国道を通る車両に手を振る諒君(左)とあみさん【平成23年7月28日付・ふくしまは負けない】