「霞が関」の都合(6) 試される3省庁の力量 主導権は財務省に

5日に東京で開かれた復興、環境、農林水産3省庁による作業チーム「福島の森林・林業の再生のための関係省庁プロジェクトチーム」の初会合。復興相の高木毅、環境相の丸川珠代、農林水産相の森山裕が顔をそろえ、約40分にわたり森林除染や林業再生対策の方向性などを議論した。
「福島の皆さんの思いに応えていく」。非公開だった会議の終了間際、記者団の入室が許されると、3人がそれぞれチーム発足の意義や決意を強調した。
ただ、里山再生対策の具体的な方針は示されなかった。除染の範囲を広げようにも予算の裏付けがない。政治主導で打ち出された事業だが、環境省と農水省(林野庁)の担当者は財源確保に頭を悩ませる。
除染関連の費用は放射性物質汚染対処特措法に基づき国がいったん立て替えた後、東京電力に請求する仕組みとなっている。しかし、東電は法律や制度に照らし合わせ、適切と判断した請求のみ応じているのが実情だ。「出せと言われて『はい』とそのまま支払うわけではない。森林除染も同じ」(福島復興本社福島広報部)としている。東電が確実に支払う保証のない除染費用の予算化を求めても、財務省が応じない可能性がある。
一方、環境省の除染と合わせて林野庁が環境回復のため実施する間伐などの林業再生対策事業はあくまで国費負担。関連予算は平成26年度に35億4900万円だったが、28年度は25億5000万円と2年で約10億円も削減された。国の財政状況は厳しさを増している。
予算化をめぐり、環境省と農水省、財務省による調整が本格化する。主導権は財源を握る財務省にある。これに対し、県木材協同組合連合会長の朝田宗弘は「霞が関の力関係で除染規模などが決まりかねない」と危惧し、「福島の復興のためにはどうしても森林除染の徹底が必要。県民の声を訴え続けなくてはならない」と力を込める。
県森林組合連合会は8日、環境省などに地元の声を聞きながら議論を進めるよう要望した。今のところ実現の見通しは立っていない。(敬称略)