戻せ恵みの森に ―原発事故の断面―

【戻せ恵みの森に ―原発事故の断面―】第7部 森と生きる(52) 基準値の検証必要 安全性の理解醸成を

2022/06/20 10:10

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放射性セシウムの基準値の合理性を検証する必要性を語る満山会長
放射性セシウムの基準値の合理性を検証する必要性を語る満山会長

 超党派の県議でつくる森林・林業活性化推進県議会議員連盟の満山喜一会長(70)=自民、白河市・西白河郡=は野生キノコや山菜の出荷制限が長期化し、林業など多くの分野に影響が及んでいる状況を踏まえ、「制限解除に関わる放射性セシウムの基準値の合理性を検証していく必要がある」と指摘する。

 -野生キノコなどは東京電力福島第一原発事故発生から11年が過ぎた現在も県内の多くの地域で出荷制限が続いている。

 「自慢の地場産品を出荷できないのは、同じ県民として本当に気の毒だ。林産物の出荷制限は、林業は当然ながら地域経済、観光など幅広い分野に大きく影響している。採取の知識や技術を持った県民が高齢化し、文化が廃れてしまうのではないかと懸念している」

 -出荷制限が続いている要因の一つに、解除要件の壁の高さがある。

 「野生品は栽培品と比べて管理が難しいため、解除要件がより厳格となっている。県民から『もう少し基準が緩くならないのか』との声を聞く。食品中の放射性セシウム濃度の基準値(1キロ当たり100ベクレル)自体も国際的に見て厳しい。一般食品の場合、欧州連合(EU)は1250ベクレル、米国は1200ベクレルで、日本は10倍以上厳格だ。2014(平成26)年7月に県議会の海外調査でウィーンの国際原子力機関(IAEA)本部を訪ねた際、技術者から『日本はハイレベルな基準を定めたね』と声をかけられたのが印象に残っている」

 -自民党東日本大震災復興加速化本部の検討チームは基準値の妥当性や合理性を検証するよう政府に提言したが、見直しに向けた具体的な動きはない。

 「一度決めた食の安全の物差しである基準値を変えるのは簡単ではないのだろう。いまだに放射性物質への不安を持つ消費者がいる中で、緩和すべきでないとの考え方も一定程度理解できる。ただ、現在の基準値ができてから10年以上過ぎている。過剰な規制だとすれば、実態に合わせて見直していくべきだと個人的には考える。例えば、野生キノコや山菜を日頃から大量に摂取する人は少ない。ならば、摂取量の少ない食品に限った基準値を設定するという考え方が出てくるのが自然だろう」

 -基準値を見直すには何が必要か。

 「安全性に関する国民の理解の醸成だろう。欧米と比べて基準が厳しく設定されている点、基準を緩めたとしても安全性は担保される点を分かりやすく、丁寧に伝えるべきだ。本県の真の復興のため、前進すべき時にある」