今を生きる 小高から避難の古内涼太君(福島一中) NHK全国音楽コンクール初出場

合唱の楽しさを感じながら舞台に立った古内君(前列右)

 「合唱が自分を変えてくれた」。10日に東京・渋谷のNHKホールで開かれた第78回NHK全国学校音楽コンクール全国コンクール中学校の部。福島一中のベース古内涼太君(2年)は歌う喜びを全身に感じながら、初めての大舞台に立った。

 自宅は南相馬市小高区にある。津波で浸水し、東京電力福島第一原発事故で警戒区域になったため祖父母と両親、妹の6人で福島市に移った。古里を離れての生活に当初は不安でいっぱいだった。友達がいない学校に行くのも嫌だった。

 そんな状況を一変させたのが転校を機に始めた合唱だった。昨年の全日本合唱コンクールで2位相当の特別賞を受けるなど全国トップレベルにある仲間たちは温かく迎えてくれた。みんなで一つの音をつくり出していく心地よさ。それまで音楽の経験はなかったが、すぐにとりこになった。

 小高中時代は部活に真剣でなかったと振り返る。朝、起きるのも苦手だった。でも今は違う。打ち込めるものを見つけることができた。前向きになったことを実感している。

 「古里の友達や小高中時代の先生たちに今の僕の姿を見てほしい」と胸を張る。「合唱はこれからもずっと続けていく」