今を生きる 古里に残り念願の店 きょうオープン「元気になる服を」
■いわきの「LucaS」 堀越睦美さん
「女性は気に入った服を着ると元気になるんですよ。東日本大震災で後ろ向きになった気持ちが少しでも前向きになる服を紹介したい」との思いを込め、いわき市平の堀越睦美さん(47)は洋服店「LucaS(ルカ)」を14日、同市小島町にオープンする。市内のアパレル会社勤めなどを経て新規開店を決断した。周囲は「震災後の不安定な時期に大丈夫か」と心配したが、「被災地の人ができることをやることで地域復興が進むはず。私はファッションを通して復興を後押ししたい」と強調する。
約20年にわたりジーンズショップや百貨店、ブティックなどで販売に携わり、昨年末、アパレル会社を退職した。「流行と売り上げだけにとらわれていた自分に疑問を感じた。ここで少し立ち止まり、本当に売りたい服を売れる店を開きたい」との思いが募ったからだった。
春になったら具体的に動きだそうとしていた。震災で平の自宅は大きな被害が無かったものの、富岡町の親戚が避難し、自身も動物支援ボランティア活動に携わった。放射線の問題で市外に避難したくてもできない知人もいた。「私もここにいなければ」と決心した。
「店を開くなら関東や関西でという選択肢もあったけど、あえていわきに開店することが私の使命だと思った。お世話になったお客さまが大勢いらっしゃるのに、別の土地に行くわけにはいかないでしょう」。「LucaS」は流行に関係なく自分で確かめた高品質の洋服を中心に1人1人のライフスタイルに合った商品を提供していく。「見るだけでもいいし、震災の体験を語り合うだけでもいい。いろいろな思いを共有したいので、気軽に足を運んでください」と呼び掛けている。店の住所は、いわき市小島町三丁目12の4、あじまビル1階。電話は0246(38)6377。