今を生きる 銭湯に飯舘の風景画 山、川、商店...藤の湯(川俣)に設置

銭湯背景画の前で記念撮影する児童。正面が中島さんの作品、左が児童の作品

■川俣中に通学草野、飯樋、臼石小児童 村出身絵師・中島さんが指導
 東京電力福島第一原発事故の計画的避難区域にある飯舘村の草野、飯樋、臼石の三小学校の6年生44人は9、10の両日、同村出身で日本最後の銭湯絵師と言われる中島盛夫さん(66)の指導で「思い出の風景」の銭湯背景画を制作した。児童が通う川俣町の川俣中で作り、町唯一の銭湯・藤の湯に飾られた。児童と中島さんは藤の湯で一緒に風呂に入り、故郷の山や川、牛、商店を描いた作品を眺めて交流を深めた。

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藤の湯で交流を深めた同郷の後輩たちを見送る中島さん

 映画「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~」の劇中の銭湯背景画制作などで知られる中島さんは震災後、被災地を支援しようとTシャツを制作し、売り上げの一部を寄付するなどの活動を続けている。
 完成した銭湯背景画は縦1.2メートル横3メートルの計4枚。中島さんも、現在は同村の真野ダムの底に沈む幼い頃の故郷の風景と、得意の富士山を描いた縦2.8メートル横4メートルの銭湯背景画2枚を作った。作品は3枚ずつ男湯と女湯に飾られた。
 飯樋小6年の青木彩香さんは「美しい自然を描き村への思いを表現した。ぜひ多くの人に見てもらいたい」と話した。中島さんは「後輩と触れ合い、自分ができる支援を続けたいとあらためて感じた。子どもたちは希望を失わずに絆を強め、復興に向け一歩一歩、歩んでほしい」と語った。
 教室は、NHKの長寿番組「課外授業 ようこそ先輩」の企画で実現した。同番組は12月10日午前9時半からNHK総合で放映される予定。