今を生きる 「楽都」に響け復興の音 施設被災困難乗り越え 癒やしと勇気発信

■郡山市音楽連の団体 来月4日フェス
東日本大震災で甚大な被害を受けた郡山市で、市音楽連盟に加盟する団体が結集し、12月4日午後1時から、郡山市の郡山女子大建学記念講堂で大規模な音楽フェスティバルを開く。被災者も招待し、震災と原発事故からの復興の祈りを込めた魂のメロディーを響かせる。
例年多くのコンサートが開かれている郡山市民文化センターをはじめとした会場が使用できず、各団体の会員も歌うことや音楽を聴く気力を失っていた。役員で話し合った末、音楽の力で被災者を癒やそうとフェスティバルの実現に向かって動きだした。
原発事故の当事者となった本県と重なる曲を選んだことで、会員一人一人の心も動いたという。選曲したのは混声合唱のためのカンタータ「土の歌」。広島県出身の作詞家・故大木惇夫さんが原爆の恐ろしさや広島、長崎の両県への思いを七楽章にまとめた作品だ。第七楽章「大地讃頌」は単独で歌われることも多く、子どもたちにもなじみの曲として知られている。
大木さんは疎開先の浪江町で終戦を迎えている。
「土の歌」はフェスティバルのメーンとして各合唱団の有志約200人が25分間にわたって歌う。ようやく復旧した市内の公民館などの空きを探しながら月に1度の練習を続けている。斎藤和夫会長は「状況こそ違えど、核の被災者として大木さんの気持ちは理解できた。楽都・郡山から勇気を発信したい」と意気込んでいる。
フェスティバルは入場無料。4部構成でピアノの連弾やオーケストラの演奏なども予定している。
問い合わせは事務局 電話024(922)2079へ。