心機一転、新たな挑戦 「自分自身 復興の一歩に」 家具、フローリングの傷修復事業

木製家具の傷修復事業を起こす坂本さん

■南相馬市原町区 坂本真一郎さん(46)
 「地元復興の力になりたい」。南相馬市原町区高見町の坂本真一郎さん(46)は仕事探しに奔走して1年余。心機一転、木製家具やフローリングの傷を修復する「インテリアリペア」(本社・東京都)のフランチャイズ店「Eco リフォーム グッド」を自宅に設立し、15日から営業を始める。「自分自身の復興のための一歩にもしたい」と誓っている。
 坂本さんは、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が起きるまで、南相馬市小高区の精密電子機器の工場で技術者として働いていた。しかし、原発事故で工場は警戒区域に入り、震災発生の約10日後には会社から雇用契約を解除される。約2カ月間、相馬市の姉の嫁ぎ先に避難した。「何をすればいいのか」。急激な事態の変化にぼうぜんとする毎日が続いたという。
 母の姉の義母が原町区の介護老人保健施設ヨッシーランドで津波に襲われ、4日後に亡くなった。自宅に戻ると母親が体調不良を訴えた。
 「地元に残りたい」と、相馬市のハローワークに毎日4時間並んで仕事を探し続けた。しかし、これまで腕を磨いてきた技術職の仕事は見つからなかった。
 昨年11月、同居の母親の不整脈の手術が成功し、一息つけた。このままでは前へ進めないと、自らインターネットなどで仕事を探し、畑の違う家具修理事業に飛び込む決意をした。
 新たな仕事は予想以上に技術が必要だった。今年1月から3カ月間、埼玉県で研修を受けて資格試験に合格し、フランチャイズ制で事業ができることになった。
 新築工事などで家具やフロア、クロスに傷が付くことが多い。長さ、幅20ミリ以内なら特殊塗料で傷が消え4000円の格安料金で修理できる。張り替えるより格段に安い。新規事業で新たな闘いにチャレンジする。
 新地町から浪江町までと飯舘村がフランチャイズのエリアになる。「隙間産業だが需要はある。将来はクロス、防犯フィルムにも手を広げたい」と夢を広げている。問い合わせはEco リフォーム グッド 電話0244(26)3557へ。