愛犬家憩いの場に 岳温泉で再開「地域に恩返しを」

岳温泉にドッグカフェを開設した石沢さん家族とスタッフ

■楢葉でドッグカフェ経営 石沢崇さん(69)一家
 東日本大震災の津波で楢葉町の自宅と経営するドッグカフェなどを失い、東京電力福島第一原発事故で避難した石沢崇さん(69)は、二本松市岳温泉にドッグカフェ「Heart of WAN(ハートオブワン)」を開き、3日で1カ月が経過した。楢葉でのなじみ客をはじめ二本松周辺の愛犬家らが相次いで訪れている。
 石沢さんは楢葉町井出の海岸近くで食堂「こころ亭」とドッグカフェ「ドッグワン」を妻登志枝さん(65)、長女白木美穂さん(42)、次女佐藤久美さん(38)ら家族ぐるみで営んでいた。「サーフィンをしていた人たちが『何か食べるものはないですか』と訪ねて来たのが商売をするきっかけ。次女がペットのケアをする資格を持っていたので併せて始めた」という。
 昨年3月の震災では一瞬にして家と店舗が津波にのまれた。石沢さん夫妻と娘夫婦、孫の8人は、いわき市や郡山市を転々とし、昨年3月16日に岳温泉に避難した。「犬12匹と猫1匹を飼っていたので落ち着ける場所を探しに放射線量も低い岳温泉を選んだ」と石沢さん。恵まれた自然の中で再び店を開こうと「空の庭プチホテル」の東側に土地を求めた。
 構想から約1年がかりでオープンした自宅兼店舗は3階建てのロッジ風の造り。ドッグランやペットと一緒に泊まれる部屋3室もある。名前は楢葉で経営した2つの店名にちなんで付けた。原発事故のため浪江町から二本松に避難したトリマーの岡本望さん(22)もスタッフとして加わり、愛犬家たちを温かく迎えている。
 石沢さんは岳温泉観光協会にも入会した。「避難してから1年余り。地元には、いろいろと世話になった。県内外に常連客がいるのでペットとともに岳温泉でリフレッシュしてほしい。地域に少しでも恩返しをしたい」と誓っている。
 営業時間は午前9時から午後7時まで。不定休。問い合わせは電話0243(24)1706へ。