秋祭り25年ぶり復活 10月 地域の活気取り戻す 屋外で子どもの笑顔を

■郡山市富田町の向舘町内会
東京電力福島第一原発事故でダメージを受けた地域コミュニティーに活気を取り戻そう-と、郡山市富田町の向舘町内会は10月、25年ぶりに地区の秋祭りを復活させる。秋祭りで子どもが担ぐみこし2基が完成した。関係者は「祭りのにぎわいとともに、地域の強い絆も取り戻したい」と張り切っている。
富田町向舘には約400年前の安土桃山時代に富田城があり、会津地方の領主葦名盛氏の家臣富田将監が城主を務めた。秋祭りは毎年、富田城の守護神社・日吉神社の例大祭時に子ども育成会が主催していたが、昭和62(1987)年を最後に途絶えた。
原発事故は地域住民の生活を一変させた。放射能の影響で屋外で遊ぶ子どもがめっきり減り、町内から避難する家族もあった。「今こそ大人から子どもまで楽しめる祭りを復活させ、明るく元気な町を取り戻そう」。地域に漂う沈滞ムードを打破するため、安川進会長ら町内会役員が立ち上がった。町内各戸に呼び掛けて資金を集め、10月の日吉神社の例大祭に合わせて秋祭りの実施を決めた。
秋祭りは10月6日の「宵祭り」、7日の「本祭り」、8日の「後祭り」の3日間。メーン行事の「子どもみこし」は7、8の両日、町内の北と南方部に分かれて練り歩く。神社では縁日や太鼓演奏なども催す。
町内会は、浜通りから富田町の仮設住宅や借り上げ住宅に避難している住民にも参加を呼び掛け、地域を挙げ盛り上げる。安川会長は「震災に負けてはいられない。秋祭りを地域再生のきっかけにしたい」と話す。